「次世代レーベルマップ」Vol.3

名古屋インディーズレーベル<TRUST RECORDS>綿谷剛氏が語る、バンドとの良好な関係性 ライブハウス支援への思いも

誰の言うことも聞かなくていいから、自分たちの信じる音楽を貫いて行こう

 現在レーベルに所属するENTHは名だたるバンド達との対バンや、SPARK!!SOUND!!SHOW!!とのスプリット盤をリリースするなど精力的な活動が続く。彼らが全国的にファンを増やした理由について、「良くも悪くも真っ直ぐなところかなと。こうしたらウケるとか、こうしたらファンが増えるとか、そういう打算的なことを全く考えてなくて、自分たちが納得いく音楽やファッション、カルチャーを生み出して、それに自然と仲間が集っている感じがします」と語った。

ENTH

 レーベルに所属するアーティストの共通点を聞くと、「特にこうでないと、とか、こうあるべきとか、決まりはない」という。「自然と波長が合ったり、スタンスが近かったりするバンドが集まっている気はします。僕も含め他の誰の言うことも聞かなくていいから、自分たちの信じる音楽を一緒に貫いて行こうとはよく話しています。ライブハウスや打ち上げの席、色んな場所で色んな経験をして、もちろん誰かの影響を受けることもあるでしょうし、考え方が変わることもある。それも踏まえて時間を掛けて自分たちのポリシーを持ってもらえたらと思っています」。

 <TRUST RECORDS>はライブの現場を大切にするアーティストが多く所属するレーベルだ。新型コロナウイルス感染拡大を受け、思うようなライブ活動ができない現状を「非常に厳しいですね」と言いながらも、「6月から一部地域ではライブハウスのガイドラインが出来たので、それに則ってライブ活動を再開しようと進めているバンドもいれば、ダイブやモッシュ、シンガロング等会場の一体感が魅力のバンドもいるのでまだ見通しがたっていないバンドもいます。ただ、何もしていない訳じゃなくて曲作りに励んでいるバンドもいればスタジオに篭ってスキルアップを図っているバンドもいるので、もう少し状況が良くなった時にどんな動きを見せられるか、今は各バンドとその仕込みを相談しているところです」とあくまで前向きな姿勢を見せる。

 しかし、レーベルを通じてシーンを盛り上げよう、という意識は意外にもあまりないのだそう。「自分が惚れ込んだ才能を世の中に広げたいという思いと、各バンド・メンバーそれぞれの目標や夢を叶える協力がしたいので、そのためにどんな自分であるべきか、どんな動きをするべきか、そんなことを日々考えてます。その結果、シーンの活性化の一翼を担えたなら光栄なことだと思います」。

TRUST RECORDS Twitter

連載「次世代レーベルマップ」バックナンバー

・Vol.1:<small indies table>鈴木健太郎氏 前編後編
・Vol2:<murffin discs>志賀正二郎氏

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