山内惠介「今が幸せだと確実に言えます」 デビュー20周年への期待高まった国際フォーラム公演
20周年の目標も掲げる「来年は日本武道館に立つぞ」
第二部の前半は、今年5月にリリースしたアルバム『Japan』をモチーフに、着流し姿で同作から「大利根なみだ酒」や「望郷子連れ鴉」などを披露した。ゲストプレイヤーに尺八・篠笛奏者の長谷川将山を迎え、スクリーンにはアルバム『Japan』のジャケットなどに使われた浮世絵が映し出される。男気と哀愁を感じさせる和の世界で、山内はまるでその中の男を演じるかのように歌い、会場には歓喜の声が響き渡った。
終盤は、「流転の波止場」や「スポットライト」、「釧路空港」など、山内の歌手人生を彩ってきたシングル曲を立て続けに披露した。観客からのかけ声がかかることでお馴染みの「夢見る恋人たち」では、電飾が仕込まれたジャケットを着て登場し、ジャケットに「惠ちゃん」と文字が映し出される仕掛けも。曲中で客席に降りて、観客とコミュニケーションを取るというファンには嬉しいサプライズもあった。
また来年の20周年に寄せて、「高校生の時に地元のカラオケ大会で、作曲家・水森英夫氏に自宅と書かれた名刺をいただいた時から、僕の歌手人生は始まった」と、自身のこれまでを振り返った。「17歳でデビューし今36歳。あの頃よりも今が幸せだと確実に言えます。山内惠介の成長を見守ってくれるあなたがいてくれるから、今の山内惠介がある」と気持ちを言葉にし、そして本編の最後に歌った「ありがとうが、降り積もる。」にファンへ感謝を込めた。
アンコールでは今年開催したファンクラブ限定ライブ『惠音楽会』でも披露してリクエストが一番多かったという米津玄師の「Lemon」をカバーした。山内も出場した昨年末の『NHK紅白歌合戦』で同曲を披露した米津にとても刺激を受けたとのこと。「Lemon」は演歌歌手にもカバーされる機会が多いことから、幅広い年齢層のファンにも知られているようで、曲名を告げると会場から「ワッ」と声があがっていた。イントロに前述の長谷川氏による尺八の演奏で、オリジナリティ溢れるアレンジを聴かせた「Lemon」は、男の色気と哀愁が漂う実に山内惠介らしいものだった。最後に「来年は日本武道館に立つぞ」と、20周年を迎える来年、さらなる飛躍を遂げることをファンに約束した。
■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。