布袋寅泰は“自由”を楽しみ未来へ進む MWAMや高橋まこと&松井常松ともコラボした最新作に注目

 布袋寅泰が、『GUITARHYTHM』シリーズの10年ぶりとなる最新作『GUITARHYTHM Ⅵ』をリリースした。本作には、元BOØWYのメンバーである高橋まこと、松井常松をはじめ、Cornelius、MAN WITH A MISSIONらアーティスト、作詞家の森雪之丞、岩里祐穂、いしわたり淳治。さらに海外の名うてミュージシャンなどが多数参加し、シリーズ史上最高傑作との呼び声も高い。

 布袋寅泰は、BOØWYのギタリストとして1981年にデビュー。BOØWYが東京ドームでラストライブ『LAST GIGS』を行った1988年10月に、アルバム『GUITARHYTHM』でソロデビューを果たした。映画『キル・ビル』のテーマ曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY(新・仁義なき戦いのテーマ)」などで世界的に知られ、現在はイギリスを拠点に活動。昨年はベルギー、フランス、イギリスなどヨーロッパ5カ国でツアーを開催するなどワールドワイドな活動を行っている。

MAN WITH A MISSIONとロック問答

 この『GUITARHYTHM』シリーズは布袋のライフワークとも呼べるもので、これまでに5作をリリース。『GUITARHYTHM』という言葉は、「ギター」と「リズム」を合わせた造語で、8ビートを主体にリズミカルなサウンドを得意とした布袋のギタリストとしての特徴を言い表している。そのシリーズ最新作となる『GUITARHYTHM Ⅵ』は、シリーズのこれまでのどの作品よりも自由で、偉大な先達のロックミュージシャンへのリスペクトも感じさせる、デビューからの約40年を総括しながら未来を予感させる作品になった。

 SF映画のようなインタールード「Welcome 2 G VI」で幕を開ける『GUITARHYTHM Ⅵ』。続く「Middle Of The End」は、布袋の作品に数多く歌詞を提供してきた森雪乃丞が作詞を手がけ、まるで映画『ブレードランナー』のような世界感だ。後半のロマンチックなギターは、ハリソン・フォードが演じたデッカードとレプリカントのレイチェルが逃避行するラストを彷彿とさせる。他にも、エフェクティブなギターと前衛的なピアノが絡む、ロックの実験室といった雰囲気の「Clone(feat. Cornelius)」や、布袋らしい未来型ロックンロールの「202X」などが収録されている。

 MAN WITH A MISSION(以下、MWAM)と共演した「Give It To The Universe(feat.MAN WITH A MISSION)」もまた、どこかSF映画のような世界感だ。作詞作曲は布袋とJean-Ken Johnnyによる共作で、究極生命体であるMWAMから投げかけかけられる問いかけに布袋が答えるといった形で、互いのロックスピリットを戦わせる“ロック問答”といった様相を呈している。

布袋寅泰 - 「Give It To The Universe (feat. MAN WITH A MISSION)」

 MVでは、布袋の目がオオカミの目になり、MWAMのメンバーの顔に布袋のトレードマークである幾何学模様が刻まれていく。ロックの熱いスピリットを持った両者が融合していく様子が表現された。ヘヴィロックをベースにしたサウンドはMWAMらしさ溢れるものだが、布袋のリズミカルなギターが加わったことで、これまでのMWAMとも違ったテイストになっており、見事な化学反応を引き起こしたと言える。また、間奏では布袋の多彩なテクニックも堪能することができる。布袋とJean-Ken Johnnyによるギターソロのかけ合いがインタープレイといった雰囲気で、実にスリリングだ。ポイントで登場する〈Woo oh oh oh oh〉と歌うコーラスも、アンセム感たっぷりでライブ映えすること間違いない。

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