浦島坂田船が飛躍を遂げた理由は? “現代のスタイル”で届ける人気獲得に不可欠な要素

作品を通じてファンを広げる

 グループの歴史としても非常に大きかったのが昨年4月から6月まで放送されていた、ミュージカル学科の男子学生たちを描いた人気アニメ『スタミュ』第2期の主題歌「SHOW MUST GO ON!!」の歌唱を担当したことだろう。その際にはFourpeという架空のユニットをわざわざ作り出して歌っているが、その理由について彼らは同曲発表に際して「作品の世界観に沿った参加が出来ないかと、メンバーやスタッフみんなで相談しました」と残している。こうしたユーザー目線の配慮の形が、若者の共感を呼ぶのかもしれない。

 また、今回の新作には前作に引き続き多種多様な作家陣が楽曲を提供している。まふまふやHoneyWorksといったネットシーンの中にいながらもJ-POPというひと回り広いフィールドで活躍しつつある作家陣の起用が光っている。10曲目「ギャラクシー」の作詞曲がKEYTALKの首藤義勝なのはまさに象徴的。こうした姿勢もグループの飛躍を支えているポイントに繋がっているだろう。

すべてを現代的な形でこなす

 ただし、今まで挙げてきたようなことは現代の芸能活動においては基本であるように思う。ファンとの地道な交流、グループの絆、ライブにプレミアム感を出すブランディング、さまざまなクリエイターとのコラボレーションによる外部訴求……。これらの項目を単体で見たとき、それは他のアイドルやアーティストも同じように持ち合わせているものである。

 であれば彼らの人気の秘訣は、こうしたひとつひとつの基本をすべて堅実にこなしているからではないか。そして、それらすべてを現代的な手段・形で行えているというのが、今彼らが多くの若者の心を掴んでいる理由なのだろう。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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