桑田佳祐、“渦中”の加山雄三にエール「これからも元気に、必ずいい音楽を届けてくれる」
番組も終盤、名曲「海 その愛」のリクエストに、桑田は「俺が歌っちゃうのはどうかな?」と、弾き語りを披露。<海よ俺の海よ 大きなその愛よ 男の想いを その胸に抱きとめて あしたの希望を 俺たちにくれるのだ>ーー極めて丁寧で、ゆったりとしたこの歌唱が、何よりも加山へのエールになっていたのではないか。1コーラスを桑田が歌い、そのまま続けて「海 その愛」の音源をかけた様子は愛情に溢れなんとも胸に迫るものがあった。
番組中に何度も語られたのは、加山は年齢を気にしすぎる日本の風潮に辟易としている、ということだ。桑田も「あの方を見ていると元気をもらうし、『俺もこうなれるかもしれない!』と勘違いしてしまう(笑)。でも、会話をしていると親戚のおっちゃんみたいに、目線を下げて話してくれるんですよ。いつもありがとうございます、加山船長!」と番組を締めた。
番組終了後、車に飛び乗り、茅ヶ崎まで走らせたくなったリスナーは、筆者だけではないだろう。加山の数々の名曲と、そこから浮かび上がる茅ヶ崎の情景、そして桑田の貴重なエピソードトークに彩られた、あっという間の1時間。相棒を失い、悲しみにくれる加山にエールを送ることはもちろんだが、それ以上に加山のバイタリティと人間性をあらためて周知し、「これからも元気に、必ずいい音楽を届けてくれる」という桑田の確信を伝える、あらゆる世代の音楽ファンにうれしい放送だった。
(文=橋川良寛)
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『ニッポンハム ムーンライト・ミーティング 桑田佳祐のやさしい夜遊び』