『TIF』同日出演のNGT48、Negicco、RYUTist 新潟拠点アイドルに共通していること

 8月5日から7日、東京お台場・青海周辺エリアにて『TOKYO IDOL FESTIVAL 2016』(以下『TIF』)が開催された。

 今年は301組1492名のアイドルが出演し、3日間で計7万人以上が来場した。3日目には初出演となるNGT48がZepp DiverCityに位置するフェスのメインステージ、HOT STAGEでパフォーマンスを行ったが、この日には同じ新潟県を拠点にしたNegicco、RYUTistがラインナップされていた。

 8月21日で活動開始から1年を迎えるNGT48は、「地域密着・地元貢献」をテーマに掲げており、新潟でのイベントやCMにも数多く出演。今後、<アリオラジャパン>からメジャーデビューすることも決定している。グループが『TIF』のステージでラストに披露した楽曲「Maxとき315号」は、東京から新潟方面へ向かう上越新幹線の列車名称をそのままタイトルにしている。ピアノとアコースティックギターでのイントロから、<最後のトンネルを抜ければ近づく美しいあの街>と続くAメロの歌詞は、川端康成の小説『雪国』の冒頭を思い起こさせるような美しさだ。萬代橋をメインとしたMVでは、雪が降り積もる中をメンバーが歌い踊る映像に仕上がっている。

【MV】Maxとき315号 Short ver./ NGT48[公式]

 結成から13年の3人組アイドルグループのNegiccoは、当初新潟の名産ネギ「やわ肌ねぎ」をPRするための1カ月間の期間限定ユニットであった。 結成間もない頃に共演したPerfumeが司会を務める『MUSIC JAPAN』に出演し、涙の再会を果たしたのは有名な話だ。Negiccoの楽曲でNGT48同様に新潟色の強い曲はORIGINAL LOVEの田島貴男が作詞、作曲を担当した「サンシャイン日本海」だろう。ブリージン歌謡に、タイトルにもある「サンシャイン」というフレーズをリフレインさせながら、「信濃川」「日本海」などのフレーズが並ぶ。8mmフィルムで撮影されたMVは、新潟市歴史博物館や萬代橋など数え切れないほどの新潟の名所を巡っていく映像にもなっている。

Negicco「サンシャイン日本海」MV(Full)

 3年ぶりの『TIF』への出演となったRYUTistは、新潟市中央区古町を拠点とした4人組女性アイドルグループ。ライブハウス「新潟SHOW!CASE!!」を“HOME”として、毎週末に『HOME LIVE』を開催。タワーレコード内に設立された南波一海主宰レーベル<PENGUIN DISC>への参加も発表している。ライブでのゆるキャラ紹介、名称への「さん」付け、などRYUTistのイメージを形作る説明事項は多々あるが、特筆すべきは新潟の情景をそのままパッケージングしたような楽曲の繊細さだ。8月2日発売の2ndアルバム『日本海夕日ライン』は、波の音とメンバーコーラスの「おはよう - ルート113」からポップな曲調の「Morning Light Sunshine」を経て、大人びたミディアムチューン「二人の夕日ライン」、再び波の音とメンバーがコーラスで構成された「おやすみ - ルート402」がアルバムのラストを飾る。「新潟の海」をテーマにしながらアルバム1枚で「おはようからおやすみ」をコンセプトにしているのだ。

【フル試聴】日曜日のサマートレイン|RYUTist

 ほかにも新潟を拠点としたアイドルは存在するが、紹介した3組に共通して言えるのは、新潟の情景を歌詞、サウンドにパッケージングしたプロデュースワークと、それを表現するアイドルのパフォーマンスだ。日本には地方を拠点とするアイドルが数多に点在しているが、中でも新潟はそれが色濃く現れていると言えるだろう。

(文=渡辺彰浩)

関連記事