矢野利裕のジャニーズ批評

ジャニーズが戦後日本にもたらしたものーーアメリカ文化をどう伝えてきたか

 ジャニーズは、戦後日本のありかたとともに考えなくてはいけない。もっと言えば、ヨーロッパからアメリカへ、アメリカから日本へ、という世界史的な文化の動きのなかで考えなくてはいけない。本連載は、そのような大きな視点のなかでジャニーズを捉えようと試みている。ジャニーズのコンセプトや演出は、アメリカ文化が日本に到来するさいの文化衝突としてあらわれている。ジャニーズにおける音楽や舞台を考えるうえで、このような視点は必須だろう。

 戦後70年を迎えて、戦後日本のありかたが大きく変わろうとしている。戦争経験者の人数も、当然のことながら少なくなってきている。ジャニーズも変革のときが近づいているのかもしれない。ジャニーズ事務所は、以前のように一枚岩ではなくなってきているという噂がある。今後、ジャニー喜多川の価値観は、どれだけ反映されていくのか。ジャニーズの音楽が他国の影響を受けながら成立するのはたしかだとしても、それはどのような出力のされかたになるのか。そのときアメリカの成分はどれだけ含まれるのか。そんなことを考えながら、本連載の締切日である終戦記念日を過ごした。

■矢野利裕(やの・としひろ)
批評、ライター、DJ、イラスト。共著に、大谷能生・速水健朗・矢野利裕『ジャニ研!』(原書房)、宇佐美毅・千田洋幸『村上春樹と一九九〇年代』(おうふう)などがある。

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