また、このときに現在の嵐のスタイルを予感させたのが相葉雅紀だったことも、象徴的であると同氏は続ける。

「相葉くんはメンバーの中で特に“普通の人”ですが、嵐の凄さはその“普通さ”にこそあると、私は思います。それは従来のアイドル観ーーつまりカリスマティックな魅力を放つのがアイドルである、とする考え方とは一線を画しています。『隣の嵐くん~カリスマなき時代の偶像』にも書いていますが、嵐が老若男女に慕われるのは、彼らがごく普通の青年たちだからです。そして、最も普通である相葉くんが、現在の嵐を予感させたというのは、実に象徴的なことだと思います」（参考：「嵐には理想的な人間関係がある」明治大学の名物講師がグループの魅力を語る）

　同氏によると、相葉雅紀は特に中高年に慕われるメンバーで、憧れや敬愛といった感情よりも、見守りたいという気持ちで接するファンが多い。相葉雅紀はそういう意味でも、新たなファン層の掘り起こしに貢献しているメンバーともいえそうだ。

　同氏のように分析的な視点でMVの細部に注目するのも、嵐の楽しみ方のひとつなのかもしれない。

（文＝松下博夫）