福山雅治、西野カナ、EXILE……アジアで人気拡大するミュージシャンたち

中華圏でも圧倒的な人気を誇る西野カナ。

 最近のニュースだと、西野カナが4月23日、ザ・ベネチアン・マカオ コタイ・アリーナにて開催された『第18回 China Music Award』で「Asian Most Influential Japanese Singer賞」(アジアで最も影響力のある邦人女性アーティスト賞)を受賞。音楽性だけではなく、ファッション・アイコンとしても高く評価された。西野カナは2012年1月、台湾の紅白歌合戦といわれる「超級巨星紅白藝能大賞」出演をきっかけに海外進出。同番組出演の際は、現地で歌い継がれる名曲を中国語で披露する一幕もあった。2013年の春には自身初のアジアツアーを台湾、香港にて開催し、両都市ともにチケット完売。その国際的な人気を知らしめている。

 このようにアジア圏で活躍するミュージシャンが増加している背景には、各国の音楽市場の拡大がある。一般社団法人・日本レコード協会が2013年度6月に発表したレポート「2012年世界の音楽産業」によると「中国は音楽産業にとって非常に大きなチャンスのある市場でもある。Boston Consulting Groupの予想では、中国は今後3年間で日本を抜いて、世界第2位の消費大国になると予測されている。(中略)音楽は、携帯電話、PCの双方において、中国のエンターテイメントの中心的コンテンツとなっている」と、同国の音楽市場に光明を見いだしている。また、大物日本人ミュージシャンの中国進出が目立った2011年度、11月19日の日本経済新聞では「中国のCD単価は375~450円(海賊盤を除いた正規盤のみ)と、日本に比べて低いが、コンサートチケット代は3000~27000円に上るという。4500~8000円という国内の相場を上回る場合もある」と、同国でのライブ興行にも期待できることを示している。ほか、インドでは2012年に音楽売上が過去最高を記録、韓国ではK-POP人気に牽引されてパッケージ売上が対前年比19%増加するなど、市場を拡大している国は少なくない。

 ミュージシャンの海外進出において、現地の言葉で歌ったり、現地のテレビ番組に出演したりといった施策が目立っている昨今。ミュージシャンの海外進出が、国内音楽市場の発展に繋がることを期待を寄せるとともに、これらの文化的交流が各国間の友好の架け橋となることを願いたい。
(文=松下博夫)

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