音楽プロデューサー亀田誠治が、新番組でJ-POPのヒット術を明かす
Eテレ新番組『亀田音楽専門学校』が面白すぎ! 椎名林檎の曲にも使われた“イントロ術”とは
3:シンプルなイントロ
山下達郎の「クリスマス・イブ」を例に解説。同曲のイントロにはメロディすらなく、コード進行と音色だけで情景を描いている。一回だけ鳴る“鐘”の音色は、特にクリスマス・イブを想起させる。また、シンプルなイントロの名曲として、アンジェラ・アキは椎名林檎の「ここでキスして。」を推薦。アカペラ歌唱の寸前に入る“ブレス”の音が、緊張感を生み出していると解説した。同曲をプロデュースした亀田によると、もともとはイントロ付きの曲だったが、それをばっさりと切り落とし、いきなり歌い始めることでリスナーを一気に引き込む効果を狙ったとのことだ。
番組の後半では、アンジェラ・アキがピアノとボーカル、亀田がベースを務めるスペシャルバンドで「愛は勝つ」を演奏。力強いイントロの魅力を伝えた。
アンジェラ・アキは最後に、「良いイントロを作るには、その曲をきちんと客観的に見れていないとダメなんだな、と思いました。作りたてほやほやの曲を客観的に見るのは難しいけど、全体をいろんな角度から見て、一番ベストなものを最後に乗っけるということが必要なのかな、と。女子的に言うとお化粧といっしょで、バッチリ派手なお化粧でバーンと行く時と、「サクラ色」みたいにラインは薄いんだけどベースはしっかりしている時、すっぴんに近い時もある。洋服を先に決めてから、最後にメイクをする、という感じ」と、女性ならではの解説でイントロ作りのコツを語った。
亀田は総括として「イントロは聴く人をその曲に迎え入れるおもてなしなんですね。その曲の持っている優しさだったり、強さだったり、わびさびだったり、すべてがイントロの中に含まれている。そこがすごく丁寧に作られているのが、J-POPならではのイントロだと言えるのではないでしょうか。知らず知らずに僕たちは、おもてなしをされているんです」と語った。
J-POPの魅力とその理論を、わかりやすく丁寧に解説する同番組。音楽を始めたばかりのビギナーにはもちろん、ベテランミュージシャンや一般リスナーにとっても、興味深くて楽しい番組なのではないだろうか。
(文=編集部)