SNSで大反響のブラウザゲーム『80億分の1』 ブームの裏にある“国民的ボードゲーム”との共通点と相違点

現在、X(旧Twitter)を中心にSNS上で爆発的な反響を呼んでいる無料ブラウザゲームがある。デベロッパーのJin Hwi-eus氏が10月5日にリリースした人生シミュレーションゲーム『80億分の1』だ。
プレイヤーが「世界のどこかに生まれる誰か」となり、誕生から最期までを追体験する本作。連日X上では「〇〇の国に生まれて何歳で大往生した」などのポストが多くみられており、一人ひとりの全く異なるプレイ結果がシェアされ、大きなバズを生んでいる。
本稿では、そんな『80億分の1』が一体どのようなゲームなのかという概要に触れつつ、なぜ今、本作がここまで日本のネットユーザーの心を掴んで離さないのか、そのヒットの背景を考察してみたい。
統計データが容赦なく運命を決める“リアルな人生シミュレーション”
『80億分の1』は、Jin Hwi-eus氏によって開発されたブラウザゲームだ。最大の特徴は、国連やWHO、世界銀行などが公表している「世界141か国の実際の統計データ」に基づいてゲームが進行する点にある。
アプリのダウンロードや会員登録は一切不要。サイトにアクセスし「生まれる」のボタンを押すと、プレイヤーは文字通り“80億分の1”の確率で、世界のどこかの国、どこかの家庭にランダムで生を受ける。

その後は年齢を重ねるごとに、進学、就職、結婚、そして病気や事故といったさまざまなライフイベントと選択肢が提示される。しかし、より良い仕事に就きたくても学費が払えずに進学できなかったり、思いがけない病気で莫大な医療費を背負ったりと、自分の選択だけではどうにもならない理不尽な現実も待ち受けている。そうした喜びと苦労を重ね、やがて訪れる「死」の瞬間までを見届けるのが、このゲームの目的だ。
「人生ゲーム」との共通点と相違点
本作が流行した理由として、SNSやWebメディアでは「見知らぬ国の過酷な事情を知り、教育の大切さを痛感した」といった社会派な視点や、「全く違う環境の誰かの人生に没入し、最後に泣いてしまった」といったドラマ性がよく挙げられている。
しかし、本作が日本においてここまでの熱量で受け入れられ、シェアされている背景には、我々日本人が子どもの頃から「人生ゲーム」という文化に触れて育ってきたことが大きく影響しているのではないだろうか。
日本人にとって、進学や就職、結婚といったライフイベントを疑似体験する遊びは、決して目新しいものではない。ルーレットを回して一喜一憂し、時には借金を背負い、時には大富豪になる。そうした「人生をゲームとしてシミュレーションする」という下地が、我々にはすでに備わっているのだ。
一方で「人生ゲーム」とは大きく異なる点もある。「人生ゲーム」は最終的な総資産1位を目指すゲームであり、順位の差はあるが基本的にみんなゴールできる。しかし、『80億分の1』は勝ち負けやゴールが存在していない。わかりやすいゴールもなければ、病気になって幼くして亡くなってしまうこともある。自らの選択ではどうにもならない貧困や病気といったゲームとは思えないリアルさによってもう一つの人生に没入していくのだ。また、勝ち負けやゴールが存在していないことも、多くの人に受け入れられた要因の一つかもしれない。
そんな“リアルな人生ゲーム”がブラウザですぐに遊べる『80億分の1』。まだプレイしていない方は、ぜひ一度、あなただけの“もう一つの人生”を体験してみてはいかがだろうか。

























