アジア大会eスポーツ、5個のメダルの裏側で残った“課題” ラッキーパンチで終わらせないために求められるものとは

アジア大会eスポーツ、残った“課題”とは

 9月26日、第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)(以下、アジア競技大会)の『ぷよぷよeスポーツ』決勝で、小学5年生の栗原悠輝選手が韓国のKang Dongshin選手を10-2で退け、金メダルを獲得した。日本eスポーツ界にもたらされた初の金メダルであり、11歳の栗原選手はアジア競技大会史上最年少の金メダリストにもなった。

 この金メダルを皮切りに、日本は金2(『ぷよぷよeスポーツ』『ポケモンユナイト』)、銀2(対戦格闘団体戦、『Identity V 第五人格』)、銅1(『eFootball』)の計5個のメダルを獲得した。日本としてのメダル獲得数がゼロだった前大会(2022/杭州)を思えば、上出来どころの話ではない。

 10月5日に都内で行われたeスポーツ日本代表報告会では、対戦格闘団体戦で『ストリートファイター6』を担当したひぐち選手が、まずはメダル獲得を目標にしていたと振り返り、前回と比べた今回の成績を素直に喜んでいた。「国民の期待に応え得る競技力を持ち、メダルおよび入賞が十分に期待できる者の中から選考する」という日本選手団の編成方針は、今回のメダル獲得という結果につながったと言えるだろう。

「メダル獲得」と「アジア強豪国との差」は別の話

 ただ、10月2日の夜のことも書いておきたい。この日、同じ愛知県国際展示場では『リーグ・オブ・レジェンド』の決勝が行われていた。Faker選手やGumayusi選手ら、世界のeスポーツシーンで活躍する選手を擁する韓国代表がチャイニーズタイペイを3-0で破り、2大会連続の金メダルを決めた試合だ。アジアのeスポーツにとってメインイベントとも言えるこの試合を、日本語による公式中継で見ることはできなかった。

 杭州大会のメダル種目は、『アリーナ・オブ・ヴァラー』『Dota 2』など複数あったが、日本のメダル獲得数はゼロだった。一方、今大会で日本が表彰台に立った種目は前述の通りだ。

 ただしそれは、日本が「アジアに追いついた」ことを意味しない。もともと日本に厚い競技シーンがあったタイトルが、今回は種目として並んだ。そういうことだろう。

 逆に、世界的なタイトルである『リーグ・オブ・レジェンド』や、『Honor of Kings』『Mobile Legends』といったアジアの多くの国でeスポーツの中心にあるタイトルでは、日本の存在感は限りなく薄い。メダルの裏には、同じくらい大きな空白がある。これは良し悪しの話ではない。単純に、地域差があるということだ。

栗原選手の「11歳」が映したもの

 もうひとつ言えば、今大会のeスポーツがここまで世間の注目を集めたのは、「11歳の最年少金メダリスト」というセンセーショナルな話題があったからだ。見方を変えれば、「たまたま」競技種目において努力していた若きスターがいた結果とも言える。報告会でも、栗原選手の囲み取材には誰もが知る大手テレビ局や新聞社が数多く詰めかけていた。一方で、続くほかの選手の囲み取材では、潮が引くように数媒体にまで減ってしまったことも付け加えておきたい。日本におけるeスポーツの注目度がいまだ低いことが実感できてしまう。

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