新製品の卵も続々、テック系ライターが見てきたTGS2026の気になるアイテムとブース

ちょっとディープなTGS2026レポート

今年も大盛況だったTGS、入場パスも多彩に

 毎年TGSに行くが、見るのは周辺サービス&ガジェット周り一筋ーーそんなテック系ライターによる、メディアではあまり出ない話と、ハードメーカーを中心とした変化球的なTGS2026レポートをお届けしたい。

開会式
開会式を拝聴。セレモニーはいつも華やかだ。

 筆者が毎年TGSの取材に行くようになったのは2014年ごろ(TGS2014でLJ LEAGUE GRAND CHAMPIONSHIP=『League of Legends』というゲームの日本プロリーグの決勝戦[があったのを記憶している)。比較して今年、まず気になったのが入場パスの種類が滅茶苦茶多いことだ。来場者はビジネスデーのパスと一般公開日のチケットに大別される。ビジネスデーパスはスタンダード、ゴールド、ブラックと三種類ある。ブルーは1.5万円、ゴールドは4万、ブラックにいたっては10万するが、ゴールドとブラックは受付が別なのに加え、商談のスペースとビジネスマッチングが利用できる。

看板

 ちなみに、出展社はTGS招待としてクーポンコードを発行することができるので、取引相手に渡しておいて事前登録しておけばタダで入場可能だ(コードはスタンダード相当でゴールド・ブラックは差額でアップグレード可能)。初日にSNSなどで「一時間待っても入れない」と言っていたのはスタンダード・ゴールドの人だ。ブラックは入場口も別でまさに別世界。

 一般向けのチケットも通常の一日入場券に加え、優先入場ができるファストチケット、3日のさらなる優先入場&ラウンジ利用のあるプレミアムチケット、特典アイテムが豪華な30周年アニバーサリーチケットがあり、ハンディキャップ向けの特別割引チケットもあって、来場者のチケットですら8種類ある。

TGS2026一般公開日初日朝9時頃のHall8の外の一般チケットの行列
TGS2026一般公開日初日朝9時頃のHall8の外の一般チケットの行列。会場を一周するというのが一般的。幕張メッセ中央広場から中央エントランスに向かう場所は優待されたチケットの受付が。一般はさらに先

より進化するディスプレイ、今後が楽しみな参考展示

 さて、筆者が主戦場とするテック面では、ディスプレイメーカーをメインに。ディスプレイ系の展示は1-8のメインホールにBenQとアイオーデータ、9-11にPixioが出展していた。ここ数年では常連となる出展社だ。まず、今年のBenQはMOBIUZブランドのみで、コンソールよりの展示となっていたのが特徴。単なるsRGBやHDRではなく、ゲームタイトルの世界観により合わせた色づくりができるというゲーミングモニターに特化した製品なのは好感が持てる。

BenQブース
今年のBenQブースはMOBIUZブランドの「色」を大きく訴求。単なるsRGBではなく、3つのカラーモードでゲームの世界観を表現していた
BenQブース
単なるHDRではなく、クリア・バランス・リッチと世界観に合わせたHDR画像作りに定評があるBenQだけに流石に美麗
BenQブース ゲームタイトルごとに最適化できるとアナウンスしている
上の二つを合わせると、ゲームタイトルごとに最適な設定ができると主張。「原音とイイ音は違う」という「BOSE的」な話になるだろう。TN液晶でFPS最重視よりもコンソールゲームに振ったMOBIUZだが、500Hz製品があったのは意外だ
BenQブース 最新製品
さらに最新製品も展示。左のEX271QZのようにQD-OLEDでリフレッシュレート500Hzというのは断トツだなぁという気が

 BenQというとマウスやマウスパッドも有名だが、今回は1製品のみ。応答性を高め、実用的な作りとして、レシーバーをマウスパッドに近づけ、かつそこにマウスを置けば充電できる製品を参考展示していた。

 アイオーデータは新製品と近日発売の参考出品を展示していた一方、尖った「新製品の卵」を展示していた。一番注目を浴びていたのが「日本企業として初展示となるリフレッシュレート1000Hz製品」だった。

「アイオーデータ」のブース
社名をアイ・オー・データ機器から改め「アイオーデータ」のブース。この赤い固定枠を表示させる事で酔いを軽減する機能を体験
固定枠
固定枠は3種類。このドット枠は位置移動が可能で「この例は右に配信者本人画面等を表示させるため」という説明。このゲームは記事に出していいのですが……
27型WQHDで320Hz対応、2304ZONEのMiniLEDを備えるLCD-GDQ271ULAQ
27型WQHDで320Hz対応、2304ZONEのMiniLEDを備えるLCD-GDQ271ULAQですが「ゲーム画面撮影禁止」なので調整。テックライターは全体が撮りたくなりつい
新製品
これは面白い新製品の卵。会場で最も注目度が高かったのが右下の1000Hzモニタ。上右がAIで画像を判断して自動色調整するもの。左下はゲーミングモバイルディスプレイで144Hzまで対応する

 ここまでフレームレートが高いとPC側の性能も要求されるうえ、「反応が見える・違いが判る」人がどのぐらいいるのか気になるが、やはり4ケタに突入したのは大きく、反響もよかったようだ(「出せるかどうか微妙でしたが頑張りました!」とは広報さんの談)。

 次に注目を浴びていたのが画面をAIが判断して自動的に画質を変更する機能。展示内容を見る限り、機械学習で画面を判断するようだ。新製品として出すのか、既存製品のファームウェアアップグレードで対応するかどうかも含めて未定とのこと。

DQHD OLEDゲーミングモニター

 そしてPixioは数年前からTGSに出展している中国企業で、特徴は本体のカラバリが非常に多いこと。推しカラーでパソコンを組みたいという人にはうってつけだ。今年はコラボ商品も登場しており、初音ミクモニターを環境展示していたのが特徴的だった。

 さらに今年は「デコ」要素を紹介。まだ製品としては発売していないのだが、ディスプレイのふちに金属板を取り付けたことにより、マグネットのパーツを張り付けることができるようになっている。女性向けのカワイイモニター環境として製品化を待ちたい。

Pixioブース
Pixioは数年前からカラバリ豊富なモニターを前面に出しています。左下にちょっと見えるが、モニターアームのカラバリも豊富
NieR 15周年コラボ
今年はコラボモデルも展示。こちらはNieR 15周年コラボ
初音ミクコラボ
初音ミクコラボは今年珍しい環境展示でアピール
デコ対応モニター
新発想でこれはアリ!と思ったのが「デコ対応モニター」。モニターのフチにスチール系素材を使っていて、磁石でデコを張り付ける仕組み。気分でデコが変えられるので女性にウケそうな気がする。右下にあるのが体験用のデコ素材

そして、平和なファミリーゲームパーク

ファミリーゲームパーク2026

 実はTGSでは「中学生以下の子どもとその親のみが入場無料で入れる『ファミリーゲームパーク』」を併催している。元々はNintendo DSやWiiによるライト層やファミリー層に向けて子ども連れでも安心して楽しめるエリアとして作られたためかなり歴史があり、2005年からTGS会場の一部を使った「ファミリーコーナー」として設置。

 2020/2021年はオンライン開催、2022年は中学生以下入場禁止なのでなかったが、2023年から2025年までは幕張メッセイベントホールを使った「ファミリーゲームパーク」と拡大。今年は場所をTKP東京ベイ幕張ホールに移動しての開催となった。

ファミリーゲームパークの様子
今年も開催されたお子様向けエリアの「ファミリーゲームパーク」。中学生以下の子ども連れのみ入場可能で入場無料。一般公開日初日の昼過ぎとまだまだ早めの時間ではあるが、非常にゆったりとしていた

 ファミリーゲームパークはゲームの試遊ができる「アソビバ!」とゲームに関連するお仕事体験の「マナビバ!」、これにステージ、グリーティングと主催者展示(親子のルール作り等)となっている。「アソビバ!」のゲームは基本的に子ども向けのタイトルだが、『ドラゴンクエストVII Reimagined』やTGS会場で試遊台が非常に混んでいた『サンリオ パーティランド』も用意されていたので体験しやすかったと思う。

ファミリーゲームパーク 会場マップ
会場はゲーム体験のアソビバ!、ゲーム作製体験のマナビバ!とステージ、CESAコーナーに大別
マナビバ!
マナビバ!ではゲームを作る仕事の一部を体験可能(整理券制)
「ゲーム音楽作成体験」
「ゲーム音楽作成体験」ここは比較的小さな子でも参加可能だが、プログラミング体験は年齢制限が設けられていた
アソビバ!の試遊
アソビバ!もTGS本会場の試遊台と比較すればすごくゆったり。一番右のサンリオのゲームは本会場だと非常に混んでいた。コナミのアソビバ!待ち時間が30分程度でいいのは親にとってもうれしい。ちなみにファミリーゲームパークにもキッチンカーがあり、休憩所も用意されている
CESAコーナー
CESAコーナーでは家でゲームを遊ぶお約束作り、そして今年はAIを学ぶ場も用意されていた

 会場がイベントホールからTKP東京ベイ幕張ホールになった経緯は不明だが、興味があればゆったりな会場か、TGS本会場にも行けるという意味ではよかったと思う。TGSはものすごく混むので小学生を連れて行くのは少々キビシイが、ファミリーゲームパークは空いており、子ども連れには非常におススメだ。

そして来年以降も5日開催を予定?

 台風の影響により最終日が中止となってしまったが、TGS2026の来場者数はビジネスディ106,175人、一般公開日151,467人の合計257,642人で来場者目標を30万人だったので、予定通りの5日間開催ならば達成できただろう。TGS2025は263,101人だったので微減ということになる。

 今年はビジネスディの来場者数が多いと言われていたものの、実はTGS2025のビジネスディ来場者数は107,131人だったのでさほど変わらない。TGS2024のビジネスディ来場者数は87,180人、TGS2023のビジネスディ入場者数は68,915人となっており、手元のデータで判断する限り、2023年までと2024年からではビジネスディの入場者数が急増したことがわかる。

 過去最高の入場者数を記録したTGS2018ではビジネスデイが68,317人、一般公開日が140,373人の合計298,690人だった。思い返せば、約10年前に初めて来た際はビジネスディは「通路広すぎ!」と思っていたが、一般公開日では「通路が混み過ぎて通れない」だった。いち早く情報収集を行おうと考えた人がビジネスデイに来たことで増加したのかもしれまない。

 TGS2027は2027年9月16日〜20日に5日間開催予定と公表されている。冒頭の開会式では主催団体であるコンピュータエンターテインメント協会 会長の辻本春弘氏が「本年から5日間開催とさせていただいた」という発言が飛び出しており、開会式の段階で来年以降も5日間開催ということが予告されていたと言える。

 入場者の増加に対応するためには会期を延ばして平滑化を図るのかもしれないが、出展社の負担は確実に増す。今年はAIテクノロジーパビリオンがビジネスディだけの展示にとどまっており、B2B向けの企業はこのような出展を求める可能性も高い。海外のテック系の展示会では訪れる会社向けに、近くのホテルのスイートルームにプライベートブースを用意して商談するケースもみられる。

 なお、開会式では来賓の経済産業省 商務・サービス審議官 兼 商務・サービスグループ長の井上博雄氏が「コンテンツ産業の中でゲーム産業は海外売り上げの6割を占める」、「(ゲーム産業以外)海外で得た収益を国内クリエイターに還元を図りたい」旨の発言をしており、政府としてもゲーム業界への支援強化の方向性を示していた。テック&ガジェット系だけを見ても新製品やアイデアの種が満載のTGS、来年は5日間楽しめるイベントになることを期待したい。

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