日本向けに写真からLINEスタンプが作れる仕様も 「Google Pixel 11」シリーズはより進化したパーソナルな機能とカメラが特徴に
グーグルは8月12日、スマートフォンの新モデル「Google Pixel 11」シリーズを発表した。標準の『Pixel 11』、上位の『Pixel 11 Pro』、大画面の『Pixel 11 Pro XL』、折りたたみの『Pixel 11 Pro Fold』の4機種を用意する。価格は『Pixel 11』が13万6800円、『Pixel 11 Pro』が17万4800円、『Pixel 11 Pro XL』が20万7800円、『Pixel 11 Pro Fold』が27万9900円(いずれも最小構成)だ。その特徴と思想を発表会レポートから読み解きたい。
発表の柱はAIの先回り
発表の柱は、AI機能群「Gemini Intelligence」だ。チャットや画面の文脈を読んで、人が頼む前にAIが動く。友人とレストランを決めれば会話画面に予約の提案が現れ、アプリを行き来せずにそのまま任せられる。日本では今後、チャットからの配車の依頼や昼食の注文にも広げる予定だという。
発表会に登壇したGoogle Pixel プロダクトマネジメント シニアディレクターのピーター・プルナスキー氏はその狙いを、スマートフォンを見る時間を減らし、日々の暮らしそのものに時間を使ってもらうことだと説明した。Proモデル限定の「HiLight」も同じ発想で、伏せて置いた端末の背面ライトが光って着信やGeminiの状態を知らせる。相手ごとに色を割り当てれば、画面を見ずに誰からの電話か分かる。
最もパーソナルなカメラへ
道具の側が人に合わせるという思想を、今年はカメラでさらに踏み込んで形にした。プルナスキー氏は今回のPixelを「スマートフォンの中で最もパーソナルなカメラ」として開発したと語った。仕上がりの好みも、シャッターを切る瞬間も、撮った写真の使い道も、持ち主ごとに違っていい。SNSに投稿する動画からLINEで送るスタンプまで、カメラの新機能はこの方針で束ねられている。
新機能「カメラスタイル」は、影を濃くする、シャープネスを抑える、暖色に寄せるといった仕上がりを、撮影の時点で選べるようにする。プリセットは6種類で、気に入ったものは標準の仕上がりに代えてデフォルトに設定できる。
フィルム調の色味を選べる機能自体は、他社のスマートフォンにも広がっている。プルナスキー氏が語ったのは作りの深さだ。撮った画像に効果を重ねるのではなく、合成するフレームの数を減らし、センサーに近い層で色の変換を書き換えて、クラシックフィルムの化学反応を再現したと説明した。
若い世代の間では、あえてフィルムカメラや型落ちのコンパクトデジカメを選ぶ動きが続いている。カメラスタイルは、整いすぎた画から離れたいというその好みの受け皿を、最新のスマートフォンの中に作る機能といえる。
シャッターに必死にならないための機能
プルナスキー氏はカメラ刷新の考え方を、「写真とは単に光を捉えることではなく、その瞬間にあなたにとって最も大切なものを捉えることだ」と語った。完璧な1枚を狙って画面をにらみ続けていると、目の前の時間を味わえなくなる。その答えとして用意した「マジックキャプチャー」は、カメラを向けて持っているだけで、500のフレームの中から一番いい瞬間をAIが選んで写真にする。旅行やペット、子どもや友人との集まりなど、撮り直しの利かない場面を想定した機能で、Proモデル専用ではなく標準の『Pixel 11』でも使える。
動画の制作者向けには「クリエイタースイート」を導入した。画面上にテレプロンプターを表示して撮り直しを減らし、SNS投稿の構図を決めるグリッドをファインダーに重ねられる。撮ったクリップはGoogleフォトと連携したストーリーボードで並べ替えまで済ませられる。質疑応答で用途を問われたプルナスキー氏は、Pixelのカメラアプリ専用だと答えており、Google MeetやZoomの原稿表示には使えない。あくまで動画制作の道具という位置づけだ。
自分の写真がLINEスタンプになる
日本向けの発表もあった。LINEスタンプメーカーアプリに、AIによるスタンプ生成機能を提供する。自撮りやペットの写真を、アニメ、スケッチ、かぎ編み、キュービズムなどのスタイルでオリジナルのスタンプに変換する。画像生成モデルは日本のメッセージ文化に合わせて調整したという。
処理は100%端末の中で完結し、オフラインでも動く。元の写真が端末の外に出ることはないと説明しており、家族やペットの写真を素材にしやすい設計だ。年末にPixelを皮切りに提供を始める。
仕上がりを選び、瞬間を選び、スタンプまで端末の中で作る。振り返れば「最もパーソナルなカメラ」は、今回初めて掲げた看板でもない。多様な肌の色を忠実に写すReal Toneや、撮影者があとから合流できる「一緒に写る」など、Pixelは撮る人ごとの事情に合わせる機能を毎年重ねてきた。「Google Pixel 11」の新しさは、その範囲が画作りの好みにまで広がり、標準の仕上がりさえ取り替えられるようになったことにある。