待望の「後方互換」を発表したNintendo Switch後継機 成功のカギ握るスペック&価格を大胆予測

任天堂次世代機のスペック&価格を推測

 任天堂は11月6日、近く詳細が発表される任天堂の次世代機がNintendo Switch向けのソフトにも対応することを明らかにした。

 ゲームの界隈だけでなく、社会全体から注目が集まっているNintendo Switchの次世代機。本稿では、少しずつ明らかとなってきた同機の概要を踏まえつつ、現時点で未発表となっているスペックと価格を推測する。

次世代機はユーザーの期待どおり、Nintendo Switch向けのソフトに対応

 上述の発表は、任天堂が11月6日に実施した2025年3月期・第2四半期の決算説明会/経営方針説明会で行われたもの。資料によると、同社は「今後の展望」について語られた箇所のなかで個別の見出しを用いながら、「Nintendo Switchの後継機種では、Nintendo Switch向けソフトウェアも遊べます」とアナウンスした。これにより、ユーザーは「購入した手元のゲームを継続して楽しむこと」「Nintendo Switch向けに発売している豊富なラインアップの中から、次に遊ぶタイトルを選ぶこと」が可能になるという。そのうえで、Nintendo Switchとの互換性を含む後継機種に関する詳しい情報は、後日あらためて案内するとした。

 また、直後には、企業広報やIR情報などを発信するXのコーポレートアカウントにて、同様の内容を投稿。リプライの欄には、多くのユーザーから喜びの声が寄せられた。同ポストは16万リポスト、36万いいねされ、3,000万超のインプレッションを獲得している。

 任天堂の次世代機に期待を寄せる層にとって、後方互換はもっとも望んでいた機能のひとつであったはず。これまでブラックボックスとされてきた箇所の概要が判明したことで、同機はさらに大きな求心力を持つことになりそうだ。

「後継」という言葉で示唆されていた次世代機の後方互換性

 2024年5月に任天堂が初めて次世代機の存在を認めた際、私は本メディアに掲載された記事のなかで、アナウンスにあった「後継機種」という言葉の意味するところについて推論を立てた。「グラフィック性能の向上」「後方互換性」「リーズナブルな価格」といったユーザーに期待される要素のうち、「後継」の表現に合致するのは「後方互換性」のみであるというものだ。それから約半年が経過し明かされたその概要は、大方の予想どおりの結果となった。発表に胸をなでおろしたフリークも少なくなかったのではないだろうか。

 一方、同記事で懸念点としたのが、「後継」という言葉をめぐる任天堂の苦い過去に関してだ。同社はWiiからWii Uへとハードが世代交代する際、おなじく「後継機種」という言葉を用いて後者を紹介していたが、蓋を開けてみると、その展開は失敗に終わった。前者は、その歴史のなかで最大とも言える成功を収めたことで知られるハードでもある。こうした構図が同様に大きな成功を掴んだNintendo Switchとその後継機種にも当てはまる可能性が拭いきれないとした。

 無論、両者のあいだにはさまざまな事情の違いが存在するため、一概に似た結果につながるとは言い難い。今日では、Wii Uの失敗の理由も広く考察されている。そのひとつがソフトのラインアップの乏しさだ。同機はその仕様から、サードパーティーによるソフトの開発が技術的/経済的に難しかったとされている。このことが結果的に普及の遅れ、ソフトの開発/発売のさらなる停滞という悪循環を生み、失敗への道筋をたどってしまった。

 この点に関して、後方互換機能を備えることが明らかとなった次世代機には、これ以上は望めないほどのアセットがある。Wii Uとおなじ轍を踏むことさえなければ、懸念は杞憂に終わるに違いない。おそらく任天堂も一連の経験を生かしているはずだ。ユーザーの期待どおりとなった今回の発表によって、同機の成功の可能性は一段と増したと考えられる。

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適切なバランスポイントの設定が成功のカギに

 少しずつ明らかとなってきた任天堂の次世代機の輪郭。今回、Nintendo Switch向けソフトへの対応が発表されたことで、ユーザーの関心はより一層、その仕様やスペック、価格へと寄せられていくのではないか。私が過去の記事で「後方互換性」とともに期待される要素であるとした「グラフィック性能の向上」「リーズナブルな価格」については、バランスポイントをどこに設定するかが、消費者の理解を得られるかの分岐点となるはずだ。高性能かつ低価格など、良い意味で両者のステータスが乖離していれば、その分だけ市場に対する訴求力は高まるに違いない。しかしながら、一般的には、機能が向上すれば、同様に価格も上昇するのがセオリーである。つまりは、及第点のスペックを備えたうえで、消費者が手を出しやすい価格に抑えるのが肝要であるというわけだ。

 では、「及第点のスペック」「手を出しやすい価格」とはどの程度なのか。ゲーム市場では昨今、メーカーがマルチプラットフォームでタイトルを展開する例が珍しくない。しかし、ここ数年、特に「AAA」と呼ばれるタイトルにおいては、PlayStationやXbox、PCに比較して、Nintendo Switchのスペック不足が嘆かれるケースも増えてきた。次世代機に関する話題において、「グラフィック性能の向上」がトピックとなりやすいのは、こうした背景が存在するからだ。メーカーがマルチプラットフォームでタイトルを展開できるだけ、さらにはユーザーが任天堂プラットフォームを選んでも快適にゲームプレイできるだけのスペックを備えることが、同機がマストでクリアしなければならない課題であるとも言える。

 その点を鑑みると、少なくとも「PlayStation 4 Pro以上、PlayStation 5未満」程度のスペックは必要となるのではないか。Nintendo Switch同様、おそらく据え置き機と携帯機を両立することになるであろう次世代機の仕様を考慮すると、Steam Deckと同程度のプレイアビリティは求められることになるだろう。そうでなければ、メーカーがマルチプラットフォームでの展開先にNintendo Switchの次世代機を選ぶことが難しくなってしまう。NVIDIA製グラフィックボードの型番で表現するのであれば、『GeForce GTX 1660 SUPER』から『GeForce RTX 2060』ほど、『GeForce RTX 3060』前後だろうか。後発のハードとして、このくらいの性能は必須になってくると考える。

 一方、価格の面では、「5万円台まで」が理解を得られるかの境界線となりそうだ。参考までに、通常モデルのNintendo Switchは、2017年3月のローンチ時の価格が29,980円、現在の価格が32,978円。上位機種である有機ELモデルの価格が37,980円となっている。PlayStationプラットフォームの現行機であるPlayStation 5は、2020年11月のローンチ時の価格が54,978円、現在の価格が79,980円だ(価格はすべて税込み)。

 Nintendo Switchがファミリー機である性質上、次世代機もまた、界隈では同程度の価格帯で発売されることを望まれているが、スペックが大幅に上昇する関係などから、値上げは絶対だろう。現実的に考えれば、「5万円台」でも十分に頑張ったと言える価格設定なのではないか。ゲーマー/メーカーに求められるスペックを満たしつつ、子どもに買い与えるというニーズにも応えること。これこそが同機が直面するバランスポイントの本質である。

 満を持して「後方互換」が公表されたNintendo Switchの次世代機は、すべての面でユーザーの期待に応え、ハード市場の覇権を握れるか。任天堂はその全貌を2025年3月末までに発表すると明言している。

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