この夏訪れたい、テクノロジーと絵画を組み合わせた展覧会 『モネ&フレンズ・アライブ』レポ

 7月12日から『モネ&フレンズ・アライブ』が日本橋三井ホールで開催されている。この展覧会では、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて活躍したクロード・モネを始めとする印象派の画家の作品群に、力強いクラシック音楽と最新のイマーシブ技術を組み合わせることで、芸術性とエンターテインメント性を兼ね備えた没入体験ができる。

 さっそくSNSで話題沸騰中の展覧会の中身を見てみよう。

 入場してすぐに待ち受けているのは、モネと印象派の画家についての説明パネルだ。この説明パネルを見れば、あっという間にフランス印象派や当時の美術史の流れに詳しくなれる。

 続いてのコーナーには、今回のメインとなる空間が広がっている。

 クロード・モネ、カミーユ・ピサロ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、エドガード・ドガらの作品が、筆遣いまで分かるレベルで巨大なスクリーンに映し出されている。豊かな香りに包まれながら、優雅で壮大な音楽で心を癒され見る作品は至高以外の何物でもない。

 筆者が一番注目したポイントは、作品が移り変わるごとに、匂い、音楽が変化するだけでなく、なんと地面までもが変化するところだ。

 プロジェクションマッピングによって映し出される地面までもが作品の一部になっており、360度楽しめる展覧会となっている。また、会場の一部スクリーンには当時の時代背景に寄せた映像も流れており、「この絵画はこんな風景を見ながら描いたのだろうか」という違う観点からも楽しめる工夫がされていた。

 それから、この展覧会には二か所のフォトスポットがある。一か所目は、フランス・ジヴェルニーの『モネの庭園』をイメージした空間。まるでモネの庭園に遊びに来たかのような写真が撮れる。

 モネをイメージした「モネさん」のAR体験もできて、好きな場所にモネさんを移動させて作品との2ショットを撮影することも可能である。このモネさんは、展覧会をユニークに楽しめる要素の一つになっている。

 そして二か所目は、巨大スクリーンの近くに広がる『睡蓮の池』と橋を完全再現した空間。モネの代表作のひとつである『睡蓮の池』が、絵画から飛び出しているようで、新鮮な気持ちになった。こちらのスポットは、橋の上で立って写真を撮ると簡単に映える写真が撮れるのでオススメだ。

 筆者がこの展覧会で一番感動したところは「細部へのこだわり」である。光や香り、音といった演出、そのどれもが絵画たちの魅力を高めることに繋がっている。一つ一つの作品の見せ方に強いこだわりがあるからこそ、見る人誰しもがモネら印象派の作品たちに没入してしまうのだろう。

 力強いクラシック音楽とテクノロジーを組み合わせることで、新感覚の展覧会になっていた『モネ&フレンズ・アライブ』。本展覧会は9月29日まで開催している。印象派や絵画に明るくない人、ふだん美術館に行かない・好きではない人でも気軽に楽しめるので、是非足を運んでみてはいかがだろうか。

■関連リンク
東京展『モネ&フレンズ・アライブ』

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