UUUMはなぜTikTok広告で急成長を遂げたのか UUUMとTikTok for Businessそれぞれの視点から見えた“勝因”と“ショート動画広告の未来”

Quest特別賞受賞の要因は、“攻め”と“守り”を兼ね備えた体制にあり

ーー広告だと感じさせないことが大事なのですね。TikTok for Businessでは昨年12月に「TikTok Quest」をリリースされましたが、その経緯を教えていただけますか?

河野:広告パフォーマンスを向上させるためには、プラットフォームの特性に合わせた適切な運用が重要です。TikTokの広告運用はこれまでいろんな代理店がさまざまな方法を試してきており、代理店ごとに独自のノウハウをもっていました。とはいえ我々でベストプラクティスはまとめるべきで、弊社の専門知識と経験をもつメンバーがしっかりとノウハウを把握したうえで、絶対に外せないポイントをまとめたものとしてTikTok Questをリリースしました。

 広告運用のノウハウは担当者にナレッジがたまりやすかったのですが、リリースした以降は一定レベルの水準を保てるようになりました。いろんな方法を試す必要がなくなったので運用が効率化され、運用が止まってしまうアカウントが減りましたね。

ーー以前よりも広告運用のハードルが下がったように感じます。今回のアワードでは「Quest特別賞」が新設されましたが、どういった経緯があったのでしょうか。

河野:広告主さまから運用が上手な代理店を聞かれることが多く、運用の一定基準をしっかりと弊社で認証できる形にしようということで、今回から高い水準を目指して運用に取り組まれた代理店を表彰することにしました。

ーーUUUMは今回のアワードで「Rising Star Category」のBronze Awardと「Agency Category」のQuest特別賞を受賞されましたが、要因はなんだと思われますか?

古田:立ち上げて2年ほどで、代理店としてちゃんと認めてもらえたというのが嬉しかったです。要因の1つは、実直なメンバーを運用チームに集めたことにあると思います。UUUMはクリエイティブが特徴的なので、きちんと広告効果につながるか否かわからない。メンバーをしっかり揃え、広告に出演したことのなかったクリエイターを起用したクリエイティブで広告効果を出せるよう、細やかな運用ができるようにしました。クリエイティブではしっかりと攻め、運用は堅実、丁寧にといった“攻め”と“守り”を兼ね備えた体制を構築できたことが大きかったと思います。

 なにより縦型コンテンツを日頃から投稿しているクリエイターのクリエイティブを大量に用意できたことが、売上や広告効果が上がった要因だと思います。内々のクリエイターを起用しながらやってきた点は弊社の良さかもしれません。

ーー古田さんのお話を聞いたうえで、河野さんはUUUMの受賞理由についてどう考えていらっしゃいますか?

河野:いくつかありますが、UUUMさんがパフォーマンス広告とブランド広告の両方できるというのが受賞要因の1つです。実はこの両方を運用するのは難しく、UUUMさんももともとはブランド広告に強かったと思います。そこからパフォーマンス広告にも取り組み、成果を出せたというのがあります。

 もう1つは、自社でのキャスティングと動画制作の強みを活かした提案をしていただいていることです。TikTokのトレンドやUGC(※)を研究し、クリエイターと広告主双方の売り上げを作ること、クリエイターといかに連動させるかという提案スタイルを確立されました。さらにTikTok上でクリエイターのオーガニック投稿に広告を展開させる「Spark Ads」を活用し、我々の売り上げに貢献いただいたことも受賞の理由と考えています。



(※)UGCとは、User Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略。消費者であるユーザーによって制作・発信されるコンテンツ。ユーザーによるTikTokやSNSへの投稿など。

古田:恐れ多いですけど嬉しいです。

ーー2023年は売り上げが伸びたということが受賞理由のひとつということですが、2023年はどのような取り組みをされていましたか?

古田:数多くのプロモーションに携わらせていただいたのですが、TikTokの特性を活かせた事例としては、ゲームアプリのプロモーションです。そのゲームはIP自体がとても有名で多くのタイトルが出ており、そのなかのパズルゲームを担当させていただきました。ただ、IPのファンと一般的なパズルゲームというのが、なかなか紐付きづらいところがありました。

 しかしTikTokには性別年齢や趣味趣向など幅広いユーザーがいらっしゃるので、現状、そのIPのゲームに深く興味がなかったとしても反応してもらいやすい土壌があります。そこを含めて僕らはオーガニック広告というか、境目がない自然と情報を手に入れやすい環境下で、もともとファンではない人を獲得しにいくというプロモーションを成功させることができました。パズルゲーム×強いIPみたいな両極端にあるものを成功させるためにプラットフォームとしての力を貸していただいたことで、当社のクリエイティブのやり方とうまくマッチしました。

 TikTokというプラットフォームだからこそ成功に導けた上記のような活動が、今回の受賞に繋がったならば良かったなと心から思います。

TikTok for BusinessとUUUMが予想する“ショート動画広告の未来”

ーー今後ショート動画広告はどのように進化していくと思われますか?

河野:TikTokをプラットフォームとして捉えたときに、クリエイターによるPR投稿とTikTok for Businessにご出稿いただき展開する広告の2種類ありますが、広告主側ではその2つを異なる事業部や代理店が担当していることが多く、連携が非常に重要です。

 今年4月に弊社がリリースした「商品リンク(Destination Link)」では、Pixelの設定をしていただければ、広告主のオーガニック投稿にリンクをつけ、リンク先でユーザーがコンバージョンしたかどうかまで追えるようになりました。このことによってオーガニック投稿と広告の統合が起こっていくというのが直近の見立てで、TikTok活用において、今後はこの2つをうまく統合しマネージできるかが、企業や代理店にとって大事になってくると思っています。

古田:まさにUUUMが目指しているところですね。僕らはクリエイターによるPR投稿と広告のどちらもサポートできますし、分け隔てなく遂行できます。それこそクリエイター事務所に広告代理事業運用組織があるので、そういった事例にしっかり対応していきたいですし、長尺動画だけでなくショート動画広告もできるということを証明できる1年にしたいです。

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