ビジネスパーソンも使える“カリスマホストのテクニック”とは?  『愛のハイエナ2』山本裕典の師匠“軍神”に学ぶ

 先日、ABEMAのドキュメントバラエティ番組『愛のハイエナ2』が、大盛況のうちに幕を閉じた。

 同番組の名物企画と言えば、SNSを中心に人気に火がついた『山本裕典、ホストになる』だろう。ホストに初挑戦した俳優の山本裕典だが、そこは甘い世界ではなかったーー。上がらない売上、年下の先輩ホストによる無慈悲な煽りにより、悔しさから涙を流す場面も。そんな苦難の連続の山本を支え、導いてくれたのが、同企画の舞台となった歌舞伎町ホストクラブ『Lillion』のトータルプロデューサー、軍神こと心湊一希(みなといつき)だ。

 軍神は、接客中の山本の背後にほぼベタ付きで接客のアドバイスをする存在。その通り実行すればたちまち送り指名を獲得する的確っぷりが話題となるほか、ビジネスにも転用できそうだと夜食以外の視聴者からも注目を集めていた。

 実は軍神、もともとホストになる前に3社ほど会社員として営業職を経験。どの会社でも営業成績1位を収めたやり手だ。30歳でホストに転身後は、お酒が飲めない&ホストとしては高齢というハンデがありながら、営業経験を接客で応用し、年間売り上げ1億円を突破した経歴の持ち主だ。(現在はプレイヤーを引退)

 本稿では、そんな軍神が『愛のハイエナ2』のなかで山本に伝えたアドバイスのうち、ビジネスに転用できそうなものを紹介する。

 まず、印象的だったのは、なんと言っても時間管理の徹底っぷりである。たとえば、大阪の姫(客)たちへの対応方法を身につけてきた山本は、軍神から「自分で判断してヘルプに回ったり、接客したりしてみてほしい」と指示。ただ、いざやってみると、そこまでうまく行くことはなく、自分が楽できる、居心地の良い姫との時間を優先。見送りに長く時間を取ってしまったことで、店内にいる姫たちを置き去りにしてしまうという一幕が見られた。

 これに対し、軍神は「なにしてんの?」と一喝。売り上げにつながらない客にかける時間は最低限に、売り上げ見込みのある客に対してはしっかりと時間をかけることの大切さを説いた。

 このときのアドバイスはビジネス、特に営業職においても転用できそうな印象。見込みのない客に対し、一昔前までは“粘り勝ち”する手法を取っていたビジネスパーソンも多いかもしれない。ただ、顧客視点からすると、どんなに粘っても買わない商品は買わないだろう。営業職経験がある筆者としては、思わず膝を打ってしまう場面だった。そこに時間をかけるくらいなら、見込みになりそうな人を新たに探した方が良いのだ。

 軍神のアドバイスは、なにも営業職だけに転用できるものではない。

 たとえば、まだまだ大阪女子を飼い慣らせず、振り回されっぱなしだった山本に対して軍神は「受け取り方上手くなって」と指導した。

 これは「顔タイプって言われたら、喜ばないともっと。満面の笑顔で嬉しいって言わないと」「奥さんがいて、ご飯を作ってくれたときに受け取った側の表現がいかに上手くできるかで、ご飯作ってよかったな。また作りたいなと思える」「女の子が投げてくれた(会話の)ボールをどう気持ちよく受け取るか」と丁寧に意図を説明。

 ホストに大切なスキルは、相手を楽しませる話術と思われがちだ。しかし、真に大切なことは、小手先のノウハウではなく、あくまでも目の前にいる相手に対して、どううまく振る舞うか。表面をなぞっただけのコミュニケーションでは、相手の心を射ることは難しいのだろうか? 人との接し方を改めて考えさせられる一幕だった。

 これに関しては、もはやビジネスどころか円滑な夫婦関係、職場での良好な人間関係を気づくためにも言えそうなこと。スタジオメンバーも大きくうなずいていたのが印象的であった。

 このように、軍神の教えは、ホストだけでなく、ビジネス、日常生活にも活かせるものが多い。そういった目線で『愛のハイエナ2』の『山本裕典、ホストになる』を改めて視聴してみても面白いのではないだろうか。

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