TikTokで次々ヒットを生み出す『カメ止め』監督・上田慎一郎に聞く“縦型ショートフィルムの世界” 「違った文法のエンタメ」

縦型ショートフィルムの強みは“シェアのしやすさ”

――これからの縦型ショートフィルムについても教えてください。まず、縦型ショートフィルムの強みには没入感や隙間時間に見れることがあるとのことでしたが、ほかにもありますか?

上田:人に勧めやすいこともいいなと思っています。2〜3分だから、2時間の映画や12話あるようなドラマよりもLINEで「これ見て!」って言いやすいし、実際見てもらいやすいじゃないですか。自分の作った作品が大学の授業で流れていたとか、朝礼で共有されたという話を聞いたときにも、共有して、それについて議論できる時間も確保できるっていいなと思いました。

――たしかに。シェアされた相手も、すぐに見れますもんね。

上田:「見れてないんです」っていうことがなかなかない気がしています。「明日これについて話をするので見といてください」っていうときに、2時間の映画だったら「時間が取れなくて」ってなるかもしれないけど、言い訳が通じないなって。

――それから、気になるのはSNS上でどんどん長めの動画を投稿できるようになっています。これに伴い、縦型ショートフィルムの平均時間が2〜3分から伸びていくと思いますか?

上田:個人的には、あんまり伸びていく気はしてないですね。2〜3分で安定するんじゃないかなって。あくまでも2〜3分の競技というイメージがありますから。ただ、「みらいの婚活」や「キミは誰?」のように連ドラ形式で投稿したものを、時間を空けて、5分半ぐらいの長さで投稿した時に、バズった際には「5分でいけるんや」と思いましたね。そう考えると、5分ぐらいまでは延びるかもしれないですが……やはり視聴者の環境、空いた時間に見ている感じを想像すると、5分が限界値な感じはします。それより長いと、ブックマークしておいて夜の落ち着いたときに見ようみたいになっちゃうんじゃないかなって。20〜30分のYouTubeはご飯を食べながら見るのにちょうどいいけど、50分だと見ないまま終わってしまいがちなのと同じ感覚かなって。

『カメ止め』監督が描く「AI社会の婚活」 SNSで話題となった理由とは

TikTokとKDDI株式会社が連携して行っている「#ショートフィルム Supported by au」というイベントのアンバサ…

関連記事