『Shadowverse』最後のカードパックに感じる安心感と、“美味しいとこどり”復帰のススメ

 デジタルカードゲーム『Shadowverse(シャドウバース)』の第32弾カードパックが、3月末にリリースされた。今夏の『Shadowverse: Worlds Beyond』への移行に向けて、現行アプリでの新パックは今回がラスト。約8年間という長い歴史を歩んできたシャドウバースの最後を飾るにふさわしい「Heroes of Shadowverse / ヒーローズ・オブ・シャドウバース」というパック名だ。

 本稿では、シャドウバースをサービス開始時にインストールし、第9弾カードパック「Brigade of the Sky / 蒼空の騎士」から本格的にプレイしてきた筆者が、“最後のカードパック”環境でここまで感じたことを綴るとともに、過去のカードやストーリーの思い出を振り返っていく。

ある意味での安心感を覚える「ヒーローズ・オブ・シャドウバース」環境

 「ヒーローズ・オブ・シャドウバース」のここまで(記事執筆は4月4日)を見ていくと、進化&狂乱の2つのアーキタイプでヴァンパイアが(いまはほとんど狂乱だが)環境の中心に居座ったところから、耐久力に長けた機械ネクロマンサーや一気にフィニッシュするスペルウィッチが台頭してきたりしつつ、パワーの高いデッキタイプがリストを洗練させながら、そのときに多いデッキとの相性で数を増減させている……といったところだろうか。

 環境初期にヴァンパイアが暴れまわり、そこにスピードか耐久力で対抗できるデッキが台頭、メタが回るうちに本当の強デッキが発見される――という、シャドバプレイヤーなら何度も見てきた光景だ。ある意味マンネリだという意見もあるかもしれないが、個人的にはプレイヤーの試行錯誤が環境を動かす様子が“シャドバらしい”と感じる。かつてのロキサスエルフのように、プレイヤーの練度向上によって遅れて頭角を現すデッキが存在する可能性がある以上、リリースからそれなりに時間が経っても探究が続いている印象だ。個人的には機械カードの採用を絞ったネクロマンスネクロマンサーの完成度を上げたくて、いろいろとカスタマイズに励んでいる。

 もっとも、すでにJCG公式大会の上位はほとんど「ネクロマンサー / ヴァンパイア」の組み合わせとなっているため、本稿掲載時点で能力調整のお知らせが出ている可能性も否定できないのだが……。今回はRAGEの日程も遅めに設定されているため、もう少し猶予を見て環境の変化を待ってほしいと感じている。

 実際のところ、メタが回って固定化されていくのは基本的に競技環境であって、ランクマッチでは今日も元気に進化ヴァンパイアが「真紅の挑戦者・モノ」を疾走させてくるし、連携ロイヤルも自然ロイヤルもやっぱりいろいろ疾走してくる。いまはさすがに減ったが、最近までバフドラゴンもそれなりに存在していた(入る山にもよるが、RAGEのDay1はむしろこちらの傾向に近い)。

エレナはストーリーでも活躍する

 新カードは「因果に抗う者・エレナ」のように新鮮な効果を持つものもあり、環境自体はまったり楽しみつつも、良い意味で“いつもの流れ”にどこか安心感を覚えるような日々となっている。

 ちなみに、“最後のパック”ということで久しぶりに復帰してランクマッチを戦おうというプレイヤーの方には、驚くほど簡単に進化回数を稼げるようになった進化ヴァンパイアや、「因果に抗う者・エレナ」から加える「忠義の剣士・エリカ」がいまでも強すぎる連携ロイヤルあたりがおすすめだ。やはり相手のライフを疾走で削るデッキはシンプルに楽しいし、削っていくパワーもさすがに過去より数段高くなっている。守護に弱いと感じたら1~2枚ほど「真相究明」を入れたり……これは使われたときのストレスがすごいカードなので、ご利用は計画的に。

ストーリーをプレイすれば最新カードパックもより楽しめるように

 以前プレイしていたユーザー向け、という意味では、過去に登場したカードが同一イラストで生まれ変わった「リサージェントカード」も注目のコンテンツになるだろう。第31弾カードパック「Resurgent Legends / リサージェント・レジェンズ」から続いているが、今弾はストーリーで活躍したキャラクターたちのカードが再登場していることもあり、イラストも含めて思い入れがある、懐かしさを感じるというプレイヤーも多いのではないだろうか。

 スペルウィッチに負けると「アクセルキーパー・マイザー」に「バカマイザー……(CV:花澤香菜)」と言いたくなったり、「竜槍の戦士・ローウェン」のトークン「黒龍の呪い」のランダム効果で「暴走はしなくても発動は制御できないんだっけ?」と思ったり、「愛ある抱擁」のイラストを見たら「テトラっち♪(CV:種﨑敦美)」と脳内で響いたり。ストーリーを楽しんできたプレイヤーなら、それぞれ感慨に浸るポイントがあるだろう(ちなみに筆者は「ギルド争乱編」と「運命相克編」がお気に入り。どちらかと言われると甲乙つけがたいが、タッチの差で「運命相克編」だろうか)。

「ギルド争乱編」のひとコマ

 シャドウバースのストーリーは、さまざまな世界を巡って問題を解決していくという、言葉にすると王道なもの。ただ、“管理者”という存在が特色あふれる世界たちに1本の筋を通しており、問題を解決していく過程も登場するキャラクターのパーソナリティーをしっかり反映しているため、読み応え十分だ。プロ選手を含むいわゆる競技勢にも“ストーリー推し”は少なくない。

 現在のストーリーは完結に向かう「粛清編」が実装されており、まさに佳境といったところ。欠かさずシャドウバースをプレイしてきたものの、これまでストーリーはやってこなかった、内容を飛ばしていたという人も、この機会にシナリオの深さを堪能してみてはいかがだろうか。「ヒーローズ・オブ・シャドウバース」環境のバトルもより一層楽しめるようになるはずだ。

 『Shadowverse: Worlds Beyond』への移行が迫っていることもあり、「シャドバは新しい方が始まってからでいいや」という考えの方もいるかもしれない。しかし、現在のシャドウバースはさまざまなシステムが少しずつ追加されて快適なゲーム体験が構築され、充実したストーリーで世界観にも深みがあるだけに、通常のバトルでも、ストーリーでも、あるいは少しずつ追加されてきたパズルでも、まずは好きなところから遊んでみてほしい。一度はシャドウバースに触れたことのあるプレイヤーであれば、8年間の積み上げから“美味しいとこどり”の楽しみ方ができるかもしれない。

© Cygames, Inc.

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