『MacBook Air 15インチ(2024)』徹底レビュー 基本性能の高さに大満足!M3プロセッサの可能性にも期待
M3搭載のAirとPro、どちらを選ぶべき?
ここで『MacBook Air』と『MacBook Pro』の違いについても考えてみたい。Appleは現在、M3搭載の『MacBook Pro』14インチモデルも販売している。果たしてどちらを選ぶべきだろうか?
MacBook Airはファンレスであり、発熱量に対してパフォーマンス(処理速度)を維持できる時間がファンを搭載したMacBook Proよりも短く、高負荷がかかると自動的に処理速度が落ちる設計になっている。
AirとProを比べると、Proは「時間あたりの処理速度が落ちにくいコンピューター」だといえる。なので、「高負荷の作業が続く」「長期間再起動をしないような環境で使う」「グラフィックスの編集作業が多い」といったユーザーはAirよりもProを選ぶのがベターだ。反面、「長時間高パフォーマンスを出す必要がない」「携帯性や静音性を重視したい」というユーザーにはAirがおすすめである。
……というのが定説なのだが、M系プロセッサの処理速度に対する発熱効率は異常に高く、ちょっとやそっとの作業では処理速度の低下を実感することは稀だ。くわえて、今回のM3チップはグラフィックス性能が大きく強化されており、Blenderを初めとする3DCG制作ツールで大きなファイルを開くのも快適だ。
そのほかにも、本機に搭載されているM3チップはM系プロセッサで初となる「ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシング」にも対応した。MacBook Airといえど、ゲームやCGの描画にも使える性能を秘めているということだ。
ゲームに関しては正直なところ、日本の市場のみを見ていてもAppleのゲームへの施策はいまだ道半ばというところ。昨年発表された「Game Pooting tool」が大活躍してくれる未来を願いつつ待っているが、それでも一部のビッグタイトルがMacに対応するなど、良いニュースも多い。『DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT』『バイオハザード ヴィレッジ』などがMacで楽しめるのは、数年前よりもずっと良い状況だといえる。
M3ではニューラルエンジンも強化されており、M1チップに比べて処理能力が60%も向上している。昨今は「AI PC」なんて言葉も話題になっているが、AppleはAIコンピューティングの先駆者であり、最新のMacでもこうしたアップデートを続けている。M1・M2プロセッサからの乗り換えにあたっては、ローカル環境におけるAIを使った処理の高速化を感じられるはずだ。
自身の用途としては『Adobe Lightroom』のAIノイズリダクションがこの恩恵を受けるところで、試しに使ってみたが1分足らずで処理されて驚いた。今後ソフトウェア側の最適化も進むだろうから、さらにこの速度・精度が向上していくことは確実だが、Intel Macと比べるべくもない高速処理には「もうこれで十分ですよ」という気持ちになった。
まとめ:無条件ですすめられる! プロ機に迫る優秀なMac
色々と書いてきたが、まとめると個人的には「とりあえずノートパソコンが1台欲しいんです」というときに無条件で勧めたいMacである。美しい画面・最低限だが十分なインターフェイス・18時間持つバッテリーといった基本的なスペックが非常に優秀であるのにくわえて、最新のM3プロセッサにはプロ機に迫るポテンシャルがあると感じた。長時間高負荷をかけないのであれば、従来はプロ機を選択せざるを得なかった用途ーーたとえば楽曲制作などーーにも活用できるだろう。
13インチももちろん良いマシンだが、個人的には15インチの大きな画面がもたらす余裕のある作業空間が好きなので、使ったことのないユーザーにはこの機にぜひ体験してほしいと思う。
注意点としては標準構成の場合メモリが8GBなのだが、これは心もとないので、できれば16GB以上のモデルを選択したいところだ。ちなみに今回お借りしたモデルはメモリ16GB・SSDストレージも1TBと申し分ないモデル。喉から手が出るぐらい欲しくなってしまったが、レビューも書けたので泣く泣く返却の準備を始めるとしよう。
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