Z世代の大流行ワード「ヒス構文」 本家・ラランドの元ネタとは異なる捉え方で話題に?

 2023年『Z総研2023年下半期トレンドランキング』第3位、『JC・JK流行語大賞2023』コトバ部門第2位となった「ヒス構文」というワード。生みの親は、人気お笑いコンビ・ラランドである。今回は、「ヒス構文」が若者世代に派生したいった経緯とその背景について、ラランドのYouTubeチャンネルから分析していこう。

元ネタはサーヤの実体験から

 2023年1月12日、ラランドが自身のYouTubeチャンネルで「お母さんヒス構文解説」という動画を公開した。この動画では、「お母さんヒス構文」の定義と基礎的な活用事例が紹介されている。

 動画の冒頭では「お母さんヒス構文とは、お母さんが論理を飛躍させたり論点をすり替えて、ヒステリックな語気で相手に罪悪感を抱かせるような構文」だと解説している。

 さらにお母さんヒス構文には具体的な活用パターンがあり、相手の発言を拡大解釈する「論理飛躍型」、関係ない論点を持ってくる「論点をすり替え型」、自身を過剰に否定することで相手の優しさを誘う「自己否定型」、議論を無理やり終結させる「大胆結論型」、相手に隙を与えないほど言葉を畳み掛けてくる「大量連射型」がある、とした。

お母さんヒス構文解説

 動画では例文を用いて活用法を解説しているが、その例文も含め「お母さんヒス構文」とは、ラランド・サーヤが実際に母親と大喧嘩した実体験から生まれたものとなっている。ラランドがパーソナリティを務める「ラランドの声溜めラジオ」では、例文として登場したエピソードについても語っている。

【芸人:ラランドラジオ】お母さんヒス構文の始まり

本人たちの予想を超える派生の波

 そうして「お母さんヒス構文」はZ世代を中心に広まっていき、トレンドランキングのトップ3入りを果たし、今年話題のワードとなった。ここまで流行した背景は「母親との会話」というおよそ大多数の人にハマる題材と、その内容が大なり小なり「自分の親にも当てはまっている」と感じさせた“最強のあるある”だったからではないだろうか。

 また、それをただのあるあるで終わらせるのではなく、絶妙に言語化できない人の嫌な一面をラランドがわかりやすく分析・解説してくれたことにより、見ている側も納得感を得ることができた。

 そして、「お母さんヒス構文」は実際にそういったやりとりをしている親を持つ、悩める視聴者の救いにもなっていると考えられる。コメントからは「しんどすぎる時にこの動画出会えて良かったです」「自分だけじゃないんや」といった共感の声も集まっている。親との確執は本来辛く苦しいものだが、こうして笑いに転換してくれることで救われる人がいるからこそ、急速に広まっていったのではないだろうか。

 だが、「お母さんヒス構文」は“お母さん”以外の人物や、別のジャンルで「〇〇ヒス構文」と名前を変え広まっていったという背景もある。生みの親であるラランドからしても意図せぬかたちで世間に浸透していき、違う意味で捉えられているものもあるようだ。

お母さんヒス構文解説 〜実践編〜

 そして2023年11月25日、「お母さんヒス構文解説 〜実践編〜」という動画を投稿。冒頭でサーヤは、「お母さん以外のヒス構文はヒス構文でない」とキッパリ断言し、前回よりさらにキレを増しパワーアップしたお母さんヒス構文を展開した。これには思わず相方のニシダも「長いですねえ」とコメントしてしまうほどの完成度となっていた。

 実体験が元になったトレンドワードというのも珍しいが、違う解釈をされながらワードがひとり歩きしていった事例も稀有だろう。ぜひ、改めて本来の「お母さんヒス構文」の魅力を、動画を見ながら楽しんでみてほしい。

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