小規模制作のホラーゲーム、台頭の理由は? 『ウツロマユ』の成功から見るユーザーの評価軸
“たった2人”で制作されたホラーゲーム『ウツロマユ - Hollow Cocoon -』(以下、『ウツロマユ』)が評判を呼んでいる。
昨今のゲーム業界で台頭する小規模制作のホラーゲーム。なぜ同ジャンルのタイトルは、限られた制作体制であっても揺るぎない評価を手にできるのか。数ある成功例から台頭の理由を考える。
たった2人で制作された一人称ホラーADV『ウツロマユ』
『ウツロマユ』は、日本のインディーディベロッパー・Nayuta Studioが開発・発売する一人称視点のホラーアドベンチャーだ。舞台となっているのは、1980年代の日本。親元を離れ、都会で下宿生活を送る男子大学生・陣場湊は、祖母が危篤との知らせを受け、母の生家がある山深い村・一ノ瀬へと向かう。ずっと疎遠だった祖母のことを思い出しながらたどり着いた日本家屋で、彼は身の毛もよだつほどの恐ろしい体験をするのだった。
同タイトルにおいてプレイヤーは、主人公・陣場湊を操作しながら、屋敷の秘密を解き明かし、その家で起こった悲劇の全貌へと迫っていく。もっとも特徴的なのは、日本の田舎をリアルに再現した美しいグラフィック。何気ない背景まで緻密に作り込まれている様子がトレーラーなどからも確認できる。
当初はそうしたビジュアル面が注目を集めていた『ウツロマユ』だったが、体験版のリリースを経て12月7日に製品版が発売となると、シナリオ面のクオリティの高さがユーザーのあいだで評判となり、あっという間に時のタイトルとなった。発売直後には、Xでトレンド入りも果たしている。
開発・発売を手掛けたNayuta Studioは、実はプログラマーとデザイナーの2人からなるチーム。同人とも言える規模で制作されたタイトルが、これほど界隈で話題を集めること自体が極めて異例の出来事である。
対応プラットフォームはSteamのみで、価格は1,480円(税込)。制作に携わったUTUTUYA氏によると、初見プレイでエンディングに辿り着くまでの時間は、3~4時間ほどを想定しているという。