「審査では嘘じゃない歌を聴きたい」 小西遼×TonyGumboのプロデュース楽曲への想い

 ライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」では、作曲家の小西遼の楽曲プロデュースをかけた『#音楽メイキング配信 オーディション 2022』を2022年1月に開催。熾烈なオーディションを勝ち抜き、見事にイチナナライバーのTonyGumboが最優秀賞に輝き、その権利を勝ち取った。

 最優秀賞受賞後は親交を深めながら、着実に楽曲制作を進めた。そして、先日TonyGumboのオリジナル楽曲が仕上がった。今回はオーディションに関する裏話や楽曲プロデュースにかけた想いを二人に聞いた。

審査では「嘘じゃない歌を聴きたいな」と思った

――まずは小西さんが審査員を務め、Tonyさんが最優秀賞を獲得された「17LIVE」と TuneCore Japanがコラボレーションをしたオーディションイベント「#音楽メイキング配信 オーディション 2022」を改めて振り返るといかがですか?

小西遼

(以下、小西):審査員を務める機会は後にも先にも他にありませんでした(笑)。いま思うと参加者のクオリティが高かったですね。最近の「自分でトラックメイクもやる」という流れのなかで、聴き手に届いてくる作品が多かった。みんなクオリティの高いものを作るようになったなと。

TonyGumbo(以下、Tony):私は応募条件と「17LIVE」での配信回数が無関係だったこともあり、参加を申し込んだんです。でも、ほかのみなさんは毎日ライブ配信をしていて、ファンの方も沢山いらっしゃいましたね。

 因みにファイナリストの皆さん(名無し弾さん、kiyukaさん、MONAさん、Re:VOLTさん)とは他snsでも繋がらせていただいてます。お互いのライブを見に行ったり、ライブの依頼をいただいたり、オーディション限りではない絆ができて本当に嬉しいです。

――審査はどういう基準でジャッジしていったのでしょう。

小西:「ファイナリストと一緒に制作をする」ということでしたから、ソングライティングやポテンシャルのなかで「カッコいい」と思わせてくれる方で、かつ僕がタッグを組む意味を見いだせるようなアーティスト、という2点は注意していたと思います。

TonyGumbo

Tony:オーディション現場で突然「アカペラ審査をします」と言われて、楽屋が騒然としたことをいまでも覚えていますよ。みんなの緊張感が突然上がって、発声練習をし始めるという(笑)。配信だと声を加工して上手く聴かせることもできますが、生歌も全員上手かったですね……。正直、私は最終候補まで残れたことがすごいから、勝ち残ることは無理かなと思っていました。

小西:トラックと歌はどうとでもできるので、嘘じゃない歌を聴きたいなと思ったんですよ。トラックだけで判断しても一緒に作るとなった時に「あ、そういうところでごまかしてたのね」と考えたくないじゃないですか。制作段階で自分のモチベーションを落としたくないし、なるべく互いのリスペクトがあった状態にしておきたかったんです。もちろんライブ配信で歌っている方ばかりですが、とはいえ音源ではお化粧もできますから。

 歌だけではないんですけどね。ソングライティング面で面白い人もいたし、最終審査までいかなかったけど選びたかった人もいましたし。ただステージングや急に振られたときになにができるか、胆力みたいなものを含めて見てみたいという狙いもありましたね。そういったなかで「Tonyさんだろうな」という予感はなんとなくありました。

Tony:あと、小西さんの質問も鋭かった。

小西:どんなこと言ってた?

Tony:「どういう会場で歌っていきたいと思いますか?」と全員に聴いてましたよ。それで、みんな具体的な会場名を唱えて「〇〇で歌いたいです」と(笑)。

――勝ち残って、小西さんと楽曲を作ることが決定したときの心境はいかがでした?

Tony:「いいんですか?」という気持ちと、「めちゃくちゃ怖そう」という気持ちがあった気がします。オーディション後、小西さんが私以外のみなさんに「みんなの音楽もよかったよ」と声をかけていたのですが、その後ろで緊張していました。でも私に対しても「君の音楽はここがよかった」と優しく言ってくださるんですよね。だから「本当にやりたいことを言っても許してもらえるかもしれないぞ」と。

小西:Tonyさんは真面目な人。非常に真面目。話してみて、わからないことは「わからない」と言える誠実さを持っているなと感じました。「これはわかりませんが、こういう風に思います」というようなコミュニケーションから真剣さが伝わってくるんです。

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