AV評論家・野村ケンジがオススメする「今が買い」の注目テレビ

 家電製品については“欲しいときが買い時”というセオリーがあるけれど、今年の薄型テレビに関しては“今が買い時”といいたくなるほど活況な様相を呈している。というのも、今年の春から夏にかけて、新技術を搭載した魅力的な製品が各社から次々と登場しているからだ。

 特に、有機ELパネル採用テレビは、量子ドット有機ELなどの採用によって画質を大きくアップデートすると同時に、AIを活用した技術などによってユーザビリティを向上。対する液晶パネル搭載テレビも、ミニLEDが普及するなどその進化は留まることを知らない。

 2023年、いままさに買い時といえるテレビに関して、映像クオリティでの満足度が高い4K有機ELモデルをメインに、オススメ製品を各メーカー毎に紹介していこう。

■パナソニック・4K有機ELビエラ「絵も音も最高峰の1台」


 パナソニックは、4K有機ELビエラのフラッグシップである「MZ2500」をリリース。新世代の有機ELパネル「MLA-OLED」(マイクロレンズアレイOLED)を搭載し、独自のメタル放熱シートなどと組み合わせることで、昨年モデル(2022年発売の同社『LZ1800』)に対して約2倍もの高輝度化を達成しているという。

 ちなみにこのマイクロレンズアレイOLED、有機EL発光層と凸レンズを一体成型することで、内部反射で失われていた光を表面に取り出すしくみとなっており、輝度やコントラストを大幅に高めつつも消費電力は変わらない、画期的な造りとなっている。

 なお、同社フラッグシップモデルで好評のサラウンド・スピーカーシステムもバージョンアップしており、イネーブルドスピーカーに加え、ラインアレイスピーカーを追加することで、音質面での向上も押し進められている。画面の美しさはもちろん、サウンドバーなしでも大満足のサラウンド音声を楽しめる、扱いやすさに置いても格別の製品だ。

■TVS REGZA「ミリ波レーダーで測定、画像も音も自動最適化」


 レグザの4K有機EL搭載フラッグシップモデル「X9900M」シリーズ最大の特長は、ミリ波レーダーを活用した映像と音声の自動調整機能だろう。まず、映像ではユーザーが視聴する距離に合わせて明るさや色温度、精細感、ノイズ抑制などを自動調整し最適化することで、それぞれに最適な映像を作り上げている。

 いっぽう音声では、画面中央でなく左右に寄った位置で視聴していてもスピーカーの出力タイミングを調整することで、常に最適な音像定位を実現してくれるという、とても画期的なシステムとなっているのが特徴だ。

 このほかにも、「ネット動画ビューティPRO」や「アニメビューティPRO」など、AI技術を活用した画質の自動最適化機能を搭載。幅広いコンテンツが調整いらず、手軽にスムーズに最適化された映像を楽しむことができるようになっている。

 映像表現にこだわりたい、けれども調整に手間はかけたくない、そんな人をも満足させてくれる万能選手だ。

■ソニー・ブラビア「全てのコンテンツで最良の映像を」


 ソニーのフラッグシップ4K液晶、ブラビア「X95L」シリーズの特徴は、ミニLEDバックライトと量子ドット技術を使った映像の美しさ。両技術を投入することで基本のクオリティを向上させつつ、映像エンジンに「XRクリアイメージ」を追加。コンテンツごとに異なる解像度やビットレート、エンコード情報などを詳細に認識することで映像処理を最適化。テレビ放送からネット動画まで、様々なコンテンツでノイズやブレを最適に抑制、精細感のある映像が楽しめるようになったという。

 加えて、視野角を改善する「エックス ワイド アングル」も採用。独自の光学設計により、高コントラストと広視野角を両立することで、斜めから見た時にも正面と同等の高画質を実現している。

 サウンドも進化した。フレームを振動させて高音をつくる独自音響技術「アコースティック マルチ オーディオ プラス」を新採用。スリムなデザインと定位感、広がり感のよいサウンドを作り上げている。ソニー製サウンドバーを接続した際にテレビスピーカーをセンタースピーカーとする「アコースティックセンターシンク」も便利だ。

 『PlayStation 5』などで役立つゲーム専用のユーザーインタフェース「ゲームメニュー」の搭載も特徴。良画質をスマートな設置で楽しみたい人には有力候補となってくれるだろう。

■LG「ピーク輝度2000nits超の鮮やかな映像表現」

 国内唯一となる8K有機EL「Z3」をラインアップするLGだが、いちばんの注目株といえるのは4K有機ELのフラッグシップ「G3」シリーズだろう。同社第3世代となる有機ELパネル「MLA-OLED」(マイクロレンズアレイOLED)を搭載することで、2000nits超のピーク輝度を達成。視野角も改善され、斜めから見た際の明るさや色あいも改善されている。

 写真を選ぶだけで好みの画質に調整してくれる「パーソナルピクチャーウィザード」もユニークだ。設定メニューで表示された画像の中から自身が好ましいと感じる画像を選択(計6回)することで、AIが8500万通りのパターンからユーザーに向いた画面セッティングを判別し、自動調整してくれる。なかなかに手軽で、かつ便利な機能といえる。

 LG製テレビといえばゲーム関連への対応も特徴となっており、プレイ環境やゲームジャンルに合わせて画質モードを選択できる「ゲームオプティマイザ」やDolby Visionゲームへの対応、現在の設定が一目でわかる「ゲームダッシュボード」など、充実した機能を持ち合わせている。

 テレビとしてはもちろん、ゲームなども幅広く楽しみたい人にはいちばんの注目モデルといえる。

■ハイセンスジャパン「良画質、それでいてハイコスパな注目機」

 
 ハイコストパフォーマンスな高画質液晶テレビを主体とするハイセンス製品のなかでも、オススメなのが「UX」シリーズだ。

 従来比約2倍の数となるLEDを配置、構造の最適化も行うことで従来比約1.5倍の高輝度化を実現した直下型ミニLEDバックライトと、量子ドットフィルムと拡散板を分離することで純度の高い3原色分布が実現された量子ドット技術、従来比75%減という映り込みの少ない新開発の倍速XDRパネルを組み合わせることで、大幅に画質をクオリティアップ。「ハイセンス史上最高画質の4K液晶テレビ」を実現したという。

 さらに、最新の超解像処理を実現した新開発プロセッサ「HI-VIEW Engine X」の搭載によって、立体感復元超解像技術「AIナチュラルリアリティー」や肌の色のカラーシフトや白飛びを補正する「美肌リアリティーアドバンスト」、インテリジェントなノイズ低減を行ってくれる「AIネット映像高画質処理アドバンスト」「AI放送映像高画質処理アドバンスト」など、コンテンツに合わせた最適な画像を作り上げてくれるのが嬉しい。

 いっぽうで、サウンドにも力が入っており、イネーブルドスピーカー2基を含む10スピーカー構成のDolby Atmos対応サラウンドシステムを搭載。テレビ内蔵スピーカーとしては望外といえる良質なサウンドを楽しむことができる。

 画質は妥協したくないけれどもコスパを重視したい、音もとりあえずサウンドバーなしで楽しめるモノを、というひとにオススメだ。

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旅といえば、目的地は当然のこと、移動時間も存分に楽しみたいもの。時に流れゆく風景を、時に音楽や映像コンテンツなどを楽しむのもいい…

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