走りの美・純内燃機関のジャガーFタイプと、空間の美・SUVショーファーモデルメルセデスマイバッハGLSに試乗

  大磯で開催された『輸入車大試乗会』。それは日本自動車輸入組合(JAIA)が輸入車の魅力を伝え、発信するイベントの一環となっているものだ。各メーカー推しのモデルが揃う会場で純ガソリン車のジャガー『FタイプR』と、メルセデスブランドの最上級車メルセデスマイバッハの『GLS』を試乗してみた。

スポーツカーの教科書的デザイン

 世界で最も美しい1台とされる1960年代のジャガーのスポーツクーペ、Eタイプの再来ともいわれるスポーティクーペ・Fタイプ。2013年にデビューした同車はかれこれ10年選手になる。もっとも最近の仕様変更でさえ2020年の1月。ワイド&ロー、そして前後のタイヤ軸からボディの先まで短いショートオーバーハング、完成されたデザインやスポーツカーの教科書的なモデルに多く手を入れるのは不要なのかもしれない。マイナーチェンジではヘッドライトをスマートな形状のLEDにしたり、テールライトも直線デザインを強調したりと“今風”のスタイリングになった。それにともないボンネットの形状もほんの少し手が入ったことに気づく人は“通”だと思う。

抜群のエンジン音

 囲まれ感のあるコクピットに体を預けるとステアリングホイールの存在を強く感じるジャガーらしいもの。ユニークなのはエンジンを始動させるとエアコンの吹き出し口がせり上がるギミック。

 Fタイプのパワーユニットは2リッター直4(300PS)と3リッターV6(380PS)もあるが、試乗車はモデル最強の575PSを誇る5リッターのスーパーチャージャー付V8エンジンを美しく長いノーズの下に収めている。この大馬力を確実に路面に伝えるため、駆動方式はAWDだ。走り出すとエンジンの存在がわかりやすいし、ドライバーの気分を高揚させてくれる。走り出し、30から50km/hで流れる国道へ。乗り心地はこれだけ硬派なスポーツカーながらもジャガーの味だ。ふんわりとする中にも芯がある。これはドライビングモードをダイナミックにしてもそのふわり感が引き締まるが基本ベクトルは同じだ。シフトレバー近くのアクティブスポーツエキゾーストのスイッチを押すと大排気量、マルチシリンダーの美声になる。それは回転を高めるほど統一感を感じられる。山道ではそのクイックなステアリングレスポンスがたまらなく楽しい。

 2025年にはピュアEVブランドになることを宣言しているジャガーブランドのもっともクルマらしい“クルマ”を買えるのは今しかないのかもしれない。そんなFタイプの価格は993万円から。

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