世界で盛り上がる"スマホでカラオケ"事情 Apple Musicのカラオケ機能追加を機に考える

 12月14日、AppleはiOS・iPadOSのアップデートバージョン「16.2」を公開した。このアップデートではロック画面のアップデートや新たなアプリ「フリーボード」の実装などがなされたほか、Apple Musicの新機能である「Apple Music Sing」をサポートした。これはいわゆる「カラオケ」機能で、対応するiPhone・iPadではすでにこの機能を楽しめる。スマートフォンでカラオケを楽しむ需要は高く、他社の動きも活発だ。今回はこうした、スマートデバイスで楽しめるカラオケの現状について解説する。

 日本はカラオケ大国だ。そもそもカラオケは日本で産まれたエンターテイメントであり、語源も「空オーケストラ(伴奏がないという意味)」の略称である。日本にはカラオケボックスというカラオケ専用の店舗が全国にあり、老若男女が楽しめるエンタメとして浸透しているものの、アメリカや欧米ではバーなどに設置されたカラオケマシンで楽しむことが主流のようで、日本ほどにカラオケを手軽に楽しめる場所は少ない。

 こうした状況も背景にあってか、スマートフォンでカラオケを楽しみたい、という需要は以前より強くある。2012年に発表されてから幾度もアップデートを続ける「Smule(スミュール)」はカラオケに特化したアプリで、アプリ上でほかのユーザとカラオケを楽しめるところが特長だ。メジャーシーンで活躍するアーティストとの取り組みも活発に行なっており、アーティスト本人とデュエットするようにカラオケを楽しめる機能もある。

 また、Spotifyは2019年に「Sing a Long(シンガロング)」機能を実装しており、これは楽曲の歌詞を音節ごとに表示してボーカルの音量を小さく出来る、まさにカラオケの機能だ。さらに今年の6月には「カラオケ」と機能名を変え、採点機能も追加してリリースされており、音楽配信サービスのカラオケ機能としては先を行っていた。

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 今回Appleがリリースした「Apple Music Sing」もこれに類似したサービスで、楽曲のボーカル音量だけを小さくしたり、メインボーカルとバックボーカルの歌詞を同時に表示したりといった機能がある。対応するデバイスでApple Musicに契約していれば楽しめるので、ぜひ一度試してみてほしい。なお、Apple Music Voiceプランを契約しているユーザには使えないので注意が必要だ。

 既存のサービスと比べたときにApple Music Singが持つ優位性はいくつかあるが、特に最新のApple TV 4Kが同サービスに対応していることは特徴的だろう。別途マイクを用意すれば、家のテレビを使って、家族でカラオケを楽しむこともできる。また、AirPodsとの親和性が高いことも嬉しい。AirPodsを「外部音取り込みモード」にしてApple Music Singを利用すれば、自分の声をモニタリングできるためだ。

 Appleの施策の面白いところは、コンテンツ販売に終止することなく、つねに「楽しみ方」を提案してくれるところだろう。ゲームの領域においてもAppleは買い切り型のゲームを販売しながら、サブスクリプション型の「Apple Arcade」を展開しており、さらに世界のプレイヤーとスコアを競える「Game Center」のアプリも変わらずアップデートを続けている。多様な販売方法と楽しみ方を同時に提案できるところが、Appleの強みだといえる。

 ちなみに、Apple公式のYouTubeでは同機能を簡単に紹介する動画が公開されている。こちらも合わせて見てみると、より同機能についての理解を深められるだろう。

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