2023年は“シン・格ゲー元年”に? 格闘ゲームは次なるPvP覇権ジャンルとなれるか
格ゲー界隈がさらなる盛り上がりの気配を見せている。同分野はPvPトレンドの波に乗り、覇権ジャンルとなれるか。その分岐点を考える。
盛り上がる格ゲー界隈。2023年にかけては、注目のトピックが目白押し
SNKは、8月8日にアメリカ・ラスベガスで開催されていた格闘ゲームの祭典『The Evolution Championship Series(EVO) 2022』のなかで、『餓狼伝説』シリーズの最新作が現在開発中であると発表した。同シリーズ最後の作品となっている『餓狼 MARK OF THE WOLVES』がリリースされたのは、1999年のこと。最新作が無事に発売まで漕ぎつけられれば、20年以上ぶりに2D対戦アクションの人気シリーズが復活することになる。
またあわせて、同社が開発・発売する2D対戦アクション『THE KING OF FIGHTERS XV』(2月発売)に、ダウンロードコンテンツとして新規キャラクターが追加されることも発表された。2022年秋には、覇王丸、ナコルル、ダーリィ・ダガーからなる『サムライスピリッツ』チームが、さらに2023年よりスタートするNEXT SEASONには、矢吹慎吾、キム・カッファンほかも新たに参戦予定だという。同シーズンでは、PlayStation/Xbox/PC(Steam)の各プラットフォームにおいて、フルクロスプレイにも対応するとのこと。『餓狼伝説』シリーズ最新作の動向も含め、話題に事欠かない今後となっていきそうだ。
一方で、主要なほかタイトルたちにも注目すべきトピックが目白押しとなっている。「最も有名な格闘ゲーム」と言っても過言ではない、カプコンの『ストリートファイター』シリーズからは2023年、最新作の『STREET FIGHTER 6』が発売予定。『EVO 2022』では、2人の女性キャラクター、ジュリとキンバリーの参戦も明らかとなった。本作では、新機能として有名実況者・解説者による「自動実況」機能も搭載されるという。シリーズは同タイトルのリリースによって、さらなるスポーツ性・大会性を盛り込んでいくことになるだろう。
また、『鉄拳』シリーズにおいては、最新作の登場が示唆されている。これは、8月8日公開のPVのなかで明らかとなったもの。同コンテンツは、去る17日に実装された『鉄拳7』への無料アップデートの内容などを告知するトレーラーだったが、動画の末尾において、「GET READY(準備せよ)」の言葉とともに、主人公・三島一八の顔が美しいグラフィックへと変化した。もちろんPVの主な内容である無料アップデートに対しての「準備せよ」である可能性もなくはないが、演出や界隈の動向、現行作『鉄拳7』の発売時期を考えれば、最新作への示唆と考えるほうが自然なはずだ。
さらに、現在稼働中の人気タイトル『GUILTY GEAR -STRIVE-』『MELTY BLOOD: TYPE LUMINA』には8月、新キャラクターが実装されている。2021年6月の『Virtua Fighter esports』発売以降、密かにヒートアップしてきた格ゲー界隈。2023年にかけては、その集大成とも言える時期となっていくのかもしれない。
格ゲーに吹く追い風。3年ぶりに『EVO Japan』の開催が決定
こうした状況を後押しするように、別の追い風も吹く。先述の格闘ゲームの祭典『EVO』が2023年3月から4月にかけ、東京で開催されるのだ。同イベントが日本国内でおこなわれるのは2020年以来、3年ぶりのこと。かねてよりソフトウェアの開発・発売はもちろん、eスポーツ競技の分野でも世界を牽引してきた日本に、世界的にも権威のあるイベントが戻ってくるのだから、コミュニティはいやが上にも盛り上がっていくに違いない。
開催の発表にあたり、EVOゼネラルマネージャーのリック・ティハー氏は、「Evo Japanが世界の格闘ゲーム・コミュニティのために東京に戻ってくることは喜ばしいことです。日本は対戦型格闘ゲームの発祥の地であり、来春、東京ビッグサイトで開催されることが待ち遠しいです。世界中のプレイヤーやファンとそのレガシーを祝福いたします。」とコメント。先立って『GUILTY GEAR -STRIVE-』『THE KING OF FIGHTERS XV』『STREET FIGHTER V CHAMPION EDITION』『鉄拳7』がメインタイトルに据えられることも明らかとなった。今後、開幕までの数か月で、イベント内容や競技種目となる他のタイトルなどが発表されていく予定。前段のリリース・アップデートカレンダーと『EVO Japan』の開催は、格ゲー界隈の今後の動向に大きな影響を与えていきそうだ。