音楽に地域性を感じるには生活音が最適? 世界中の音が聴けるアプリ「Global Sounds」

 「Global Sounds」は画面に写真が表示されるが、具体的にどんな場所で、どんな人がいるのかは分からない。音の情報がほとんどだからこそ、音を聞いていると想像が膨らむ。例えば道の音。スイス・ローザンヌのマルシェでは、市場の音の中にサックスの音が聴こえる。街の人が喋っている言葉は分からないが、ちょっとした笑い声に心が温まる。ハノイでは車の音とエンジンの音の中に女性の怒ったような声が聴こえ、 どんなトラブルがあったのだろうと想像が膨らむ。一つの音に特化するのではなく、音が街全体を表すことで、世界の人々に想いを馳せることができるのだ。

 ハワイのフラ、ブラジルのサンバ、スペインのフラメンコなど、世界には数多くの民族音楽が存在する。伝統的な民族音楽は、聴けば国が浮かび、独自の音楽性が感じられる。しかし、近年の発表された楽曲では、言語を聴かずにどこの国の音楽か判別することは難しいように思う。国に関わらず全編英語詩の曲も多く、言語による違いも少なくなってきた。2020年、BTSの「Dynamite」が、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で自身初のNo.1を獲得した。「Dynamite」はBTSとして初の全編英語詩の楽曲だったという。今や音楽はグローバル化しており、日本でもJ-POP の中に海外の要素を取り入れるアーティストは多く存在する。音楽から地域性を感じるのは難しい。でも生活音であれば、国の風土、文化の違いを感じられるのではないか。海外旅行に行けないいま、世界中の音に耳を澄ませてみてはいかがだろうか。

(画像=Unsplashより)

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