強化されたFaceTimeは、対Zoom勢力の一番手になるか?

 先日米アップルが開催したWWDCでは、意外にも音声/ビデオチャットツールのFaceTimeの刷新が大々的に発表された。リモートワークが推奨される中、新たに生まれ変わったFaceTimeはライバルに対抗できるだけの機能を備えているのだろうか。

職場でも家庭でも活躍できるFaceTime

 まず、今回のFaceTimeのアップデート内容をおさらいしよう。iOS 15やiPadOS 15、macOS MontereyではFaceTimeにて、空間オーディオを利用することで相手がその場にいるような自然な会話が可能となった。また、新マイクロフォンモードでユーザーの声をノイズを分離することも可能だ。

 ポートレートモードを使えば、ユーザは自分の背景をぼかしてより注目度を高めることができる。また新しいグリッド表示では、さらに多くの顔を同時に見ることが可能だ。

 SharePlay機能では、友人とApple Musicで同じ楽曲を聴いたり、あるいはテレビ番組や映画を同期した状態で見たり、アプリケーションの画面を共有したりできる。さらに、Appleデバイス以外からもブラウザ経由でFaceTimeに参加できるようになった。

対Zoomに徹底ロックオン

 このコロナ状況下で幅広く利用されているビデオチャットツールとして、一番手に挙げられるのはZoomだろう。他社製ツールと比べるとセキュリティなどで問題が指摘されることもあるが、その使いやすさとパフォーマンスの高さにより、ビデオチャットアプリのスタンダードとして利用されている。

 一方で、従来のFaceTimeはインターフェイスに古さが見受けられたが、今回のグリッドビューの導入でようやく本格的なビデオチャットツールとして利用できるようになった。また背景ぼかしや他プラットフォームでの動作という意味でも、Zoomとの機能差は少なくなっている。

 一方で、WindowsやAndroidからはビデオチャットに参加することはできても、自分からミーティングを開始できないのはかなり不便な印象だ。そのため、特にビジネスにおける会議ツールとして、FaceTimeがZoomに取って代わるシチュエーションは多くはなさそうだ。

関連記事