朝倉未来が語る、若者たちの挑戦を応援する理由 「人生を終えるときに後悔がない生き方をしてもらいたい」

 格闘家兼YouTuberであり、実業家の顔も持つ朝倉未来。いずれの世界でも成功を収め、さらに飛躍を続ける彼が、今注力しているのが、愛する格闘技の普及と後進の育成だ。YouTubeチャンネルではバラエティ豊かな企画で格闘技の魅力を伝え、さらに自らの経験と、勝ち得たリソースを注ぎ込み、若手格闘家育成プロジェクト「朝倉未来1年プロジェクト」を展開。夢を追う選手たちのドラマとして、好評を博している。

 そんな朝倉が5月1日、ABEMAで独占配信中の格闘オーディション番組『格闘DREAMERS』に出演する。放送では「朝倉未来1年プロジェクト」を経てプロファイターとして活躍する格闘家たちと、「朝倉未来1年プロジェクト」に挑戦したものの落選し、現在は『格闘DREAMERS』にて、プロ格闘家としてLDH martial artsとの契約を勝ち取ろうと奮闘しているメンバーが激突。プライドをかけたガチンコのスパーリングを真剣に、愛情のこもった眼差しで見つめる朝倉は、何を思うのか。

 リアルサウンドテックは、その収録現場を直撃。収録の感想からスパーリングで相手の力量を推測するポイント、格闘家としての2021年の目標から若者たちの挑戦を応援する理由まで、じっくり話を聞いた。(編集部)

1年間本気で何かに取り組めば、ここまで人は成長できる

ーーYouTubeの動画でも常々言われているように、格闘技の人気拡大と後進の育成は、朝倉さんの大きなテーマだと思います。その意味で『格闘DREAMERS』は親和性の高い番組に思えますが、多忙ななかで参加を決めた理由は?

朝倉未来(以下、朝倉):YouTubeのほうで、僕が指導しながら1年間、東京で修行して、格闘技で成功を目指してもらう「朝倉未来1年チャレンジ」という企画をやっていて、その練習になるだろうというのが大きかったですね。それに、LDHさんが手がける格闘家の育成プロジェクトということで、格闘技人口の裾野も広がると思いますし、もともと興味がない人にも格闘技の面白さをアピールできる可能性があるので、素直に応援したいなと。それでオファーを受けたという感じですね。

ーーLDHグループというと、仲間やファミリーを大切にするイメージがありますが、その点も、朝倉未来チームと共通しているのではと。

朝倉:そうですね。まだ正式に選考も通っていない子たちのために、これだけ多くのスタッフが動いていて、すごい力の入れようだなと思いました。熱気も感じますし、今後もできることがあればサポートしていきたいですね。

ーー番組では朝倉さんが実際に1年見てきた“教え子”がバチバチのスパーリングをしており、試合さながらの迫力でしたね。

朝倉:この1年ですごく強くなっているな、ということを感じましたね。本当にこの1年間、格闘技のことだけを考えて生活していたと思いますし、格闘技に限らず、1年間本気で何かに取り組めば、ここまで人は成長できるんだなと。

挑戦する人を笑う人が多くなっている

ーースパーリングといえば、街の喧嘩自慢から異種格闘技のトップ選手まで、朝倉さんほどバラエティ豊かな相手と拳を交えてきたファイターはなかなかいないと思います。相手の力量は、どんなところでわかりますか?

朝倉:対面したときの反応でわかります。僕の初動に対してどんな反応をするのか。あるいは相手から仕掛けてきた場合だったら、どんな距離から仕掛けてくるのか、ということでわかっちゃいますね。

ーーそれでは、視聴者がスパーリングや試合を観るときに、選手の実力を推し量れそうなポイントはあるでしょうか。

朝倉:そうですね、視聴者の方が実際にどちらかの選手と対面していると想像して観てもらえると、面白いと思います。横から見ていると弱そうに見えるパンチでも、ノーモーションで意外と当たっちゃったりするんですよ。客観的な視点から、少し想像力を働かせて選手を見てもらえると、「強い」「弱い」という見え方はきっと変わってくると思います。その辺りが、格闘技の深さですね。


ーーなるほど、意識的に試合に入り込んで観戦すると、確かに面白そうです。さて、朝倉さんは「1年チャレンジ」に加えて、現在ヒカルさんと、若い人たちの夢を叶えるリアリティ番組の企画も進めているとのことですね。自分より若い世代の人たちをフックアップして、日本を盛り上げよう、という思いはどこから生まれたのでしょうか?

朝倉:そもそも、この世の中の最近の風潮として、挑戦する人を笑う人が多くなっているように感じていて。そんななかで、以前、少年院を訪問したときに「夢はありますか?」と聞いたら、ほとんどの子が「ない」と答えたんですよね。上の世代の方に話を聞くと、例えば昭和の時代は、もっと「俺はできる!」という自信を持っている人が多かったと言いますが、いまの時代は基本的に「自分には無理だろうな」と思っている人の方が多くて、夢がない。僕は逆に「何でもできる」と思って生きてきて、もちろん努力はしていますが、実際に実現したことが多いので、何事も挑戦した方がいいと思っていて。

ーーだから若い人たちにも挑戦してほしい、と。

朝倉:そうなんですよ。それに、「1年チャレンジ」で頑張って夢を叶えていく子たちの姿を見て、それが自分の幸せにもなっているなと実感したので、人の人生をいい方向に変えていくような活動がしたいなと思っています。趣味ですね(笑)。

ーー「1年チャレンジ」を見ていると、思うような結果が出なかったとしても、努力したことは決して無駄ではない、ということが伝わってきます。

朝倉:僕の場合ですが、結果より、後悔が残るか残らないかなんですよね。自分が満足するか、しないか。何かに挑戦して、結果がダメだったとしても本気でやったなら後悔はないので、人生を終えるときに後悔がない生き方をしてもらえたらいいな、と思います。もちろん成功した方がいいんですけど、「挑戦した」ということ自体が大事なのかなと。

関連記事