Uber Eatsの「家電デリバリー」は成功するのか? サービスの課題について考える

対象エリアをどこまで拡大できるかも課題

(画像:Uber Eatsアプリ)

 対応エリアを拡大していけるか否かも、普及の鍵を握っていそうだ。冒頭に書いたとおり、現在このサービスを実施しているのは全国で3店舗のみ。

 今後拡大予定とのことだが、そもそもUber Eats自体、まだ全国どこでも利用できる状態ではない。都市部は比較的広くカバーされている一方で、地方では未対応の地域も多い。

 車移動が中心となる地方の場合、デリバリーサービスのニーズ自体が都市部に比べて低いという事情もあるだろうが、Uber Eatsのようなサービスを使うこと自体、まだ「当たり前」ではないのだ。

 「Uber Eatsで家電を頼むのが当たり前」の文化が作られるには、対象地域の拡大を待つことも必要になりそうだ。

「お得感」では測れない価値を生かせるか?

 「お得かどうか」にフォーカスすると、送料無料の通販サービスに比べて決してお得とはいえないサービスだが、そもそもUber Eatsで料理を頼むユーザーも、求めているのは「お得感」ではない。

 「配送料を追加で支払ってでも、自宅にいながら好きな料理を食べることができる」という点に価値を見いだしてサービスを利用しているのだろう。

 そう考えると、家電デリバリーについても同じように「多少割高でも便利なら利用したい」と考えるユーザーは一定数存在するのかもしれない。たとえば、育児や介護で短い時間でも家を空けることが難しい人や、金額面のメリットより時間の節約を優先したいビジネスパーソン、欲しいと思ったものは、ともかくすぐに入手したいという人などにとっては嬉しいサービスになりそうだ。

 Uber Eatsはコロナ禍のステイホームが躍進の要因となったが、家電デリバリーにおいては「コロナ慣れ」が進む現段階でどれくらいのニーズを得られるか、どの程度伸びていくのかは未知数だ。「お得感」だけでは測れない価値が支持される新たな可能性に期待したい。

■酒井麻里子
ITライター。スマホ、PC、ガジェットなどの製品レビューや、アプリ・サービスの解説記事を執筆。Twitterでは、デジタル関連の気になる話題や、ちょっと役立つ小ネタを発信

トップ画像:Uberより

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