Clubhouseは“ハラスメント”を助長する場か? 海外で起こっている問題から考える
自治をユーザーたちに任せていいのか?
これらの問題は、一番に厳しい問題管理システムが確立されていない点にある。Clubhouseにはコメントやいいねボタンはなく、会話内容に声以外で反応する術がない。これでは、発言者たちがクローズドな空間を作り、独自の思想や考えを声高々に発表する最適なプラットフォームとなってしまう。アーカイブも残らないうえ、利用規約で録音やメモが禁止されているため、後から調べられても何も証拠が残らないため、誤情報を助長するような環境を生み出してしまう。
また、チャットルームたちの主催者は皆一般人で、インタビューやモデレーターの経験があるわけではない。ユーザーたちに任せられたチャットルームの管理は規模が大きくなればなるほど、すぐに方向性を誤る可能性が高い。同時に簡単に歩き回り出入りできる機能性から、なかなかユーザーたちの動向をコントロールすることは難しい。
Clubhouseの広報担当者はユーザーたちに「トレーニングツールを提供している」と話している。モデレータークラブと称されたチャットルームがそれにあたるようで、チャットルーム管理についての方法や問題管理方法などについて紹介している。
しかし、それだけでここまで指摘してきた問題がすべて解決するとは思えない。今後はより厳しいガイドラインを導入し、アプリの規制により注力していく必要があるだろう。
(画像=Unsplashより)
■mugiho
ニュージーランドの大学でマオリ文化の発展・都市計画・教育について学びながら映画、テック、文化芸術について執筆するフリーライターと翻訳家。人間観察をしながらたまにそれらについて書いたり撮ったりしている。
〈Source〉
https://www.vanityfair.com/news/2020/12/the-murky-world-of-moderation-on-clubhouse
https://www.theverge.com/interface/2020/7/8/21316172/clubhouse-content-moderation-taylor-lorenz-harassment-abuse
https://onezero.medium.com/the-moderation-war-is-coming-to-spotify-substack-and-clubhouse-9fe00672091b
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-09-29/private-social-app-clubhouse-courts-fresh-controversy
https://www.theverge.com/2020/9/30/21495419/clubhouse-conversation-antisemitism-content-moderation