Googleにも広がるダイバーシティ問題 テック業界の多様性維持目指すNPOが11億の資金調達成功

 テクノロジー業界における女性の権利平等を目指すNPO、All Raiseが1100万ドルの資金調達に成功した。男性優位の同業界の体質を変えることはできるのだろうか。そしてダイバーシティ採用の先駆者であるGoogleもまた、多様性問題の渦中にいるようだ。

 先月末、All Raiseは、メリンダ・ゲイツの投資会社、Pivotal Venturesなどを含む支援者から、1100万ドル(約11億4000万円)の資金調達を行った。この資金は、今後3年間の事業拡大に利用されるという。

 米メディア『The New York Times』によると、All Raiseは、2年間で米国の4つのテックハブに約20,000人規模のネットワークを構築している。テクノロジー業界は女性投資家を増やすことを試みており、その割合は以前の9%と比較して、現在は13%まで上昇したという。同団体は、2028年までにその数を18%に押し上げることを目標にしている。

 All Raiseの代表、パム・コストカ氏は、「テクノロジー業界の多様性の欠如は、女性やマイノリティの才能・関心の欠如によるものではない」と述べている。

 また団体幹部のエミリー・クレーマー氏は、「権力をもつ人々はそれを手放したがらない」と主張している。彼女は、この問題に対して発言力のある人々に対して、「変化のスピードが十分ではない」ことを訴えているという。

 業界の多様性推進には、依然として多くの課題も残されている。

 ベンチャーキャピタルの約3分の2にはまだ女性の投資家がおらず、女性起業家のベンチャーキャピタルからの資金調達は、昨年約12%と停滞している。また金融テクノロジー企業、Cartaの調査によると、ベンチャー企業において女性社員が所有する株の割合は、わずか11%だという。

 そしてNPO団体のWomen Who Techの最近の調査によれば、女性創業者へのハラスメントが増加しているという。回答者の44%がなんらかの嫌がらせを受けたと述べており、そのうちの3分の2は、性行為の誘い受け、3分の1は、不適切なボディータッチを受けたと回答している。

 今年、世界経済フォーラムは、すべての産業で雇用の男女格差を埋めるには、推定257年かかると結論付けた。これは以前の推定202年から悪化しており、社会は多様性のある未来から遠ざかっているようだ。

 それでも、All Raiseを共同設立したベンチャーキャピタリストのアイリーン・イー氏は、この5年間で業界は少しずつ進歩しているという。同氏は「私たちは業界の欠点や不平等性を指摘することで、不当な扱いを受けるリスクを冒してきた」としながらも、「現状のままでいいと考えている人は非常に少ない」と人々の意識の変化を感じているようだ。

関連記事