テクノロジーはエンタメを救う鍵となるか? 新型コロナ危機で注目集まる「有料配信ライブ」の可能性

 リアルな現場での体験が重視されるライブビジネスにとって、今回のような不測の事態は大きな痛手に間違いない。しかしながら、そういった状況を打破とはいわないまでも緩和するという意味で、テクノロジーはエンタメを支えることができる。また事態収束後も、こういった有料配信ライブチケットは最新のテクノロジーと相性が良いため、引き続き普及が期待されるサービスではないだろうか?

 例えば、今年1月に行われた須田景凪の招待制ライブ『uP!!!NEXT 須田景凪〜晩翠〜 powered by au 5G』では、この春から国内でも商用利用がスタートする5G通信を活用したインタラクティヴなライブ施策も行われた。その試みではライブ会場であるLINE CUBE SHIBUYAと「au SHIBUYA MODI」を5Gシステムでつなぎ、MODIに集まったファンが5G端末を利用することで、ライブに参加。5Gの多接続、低遅延、大容量通信といった特性が活かされた新しい配信ライブが実現したことは記憶に新しい。

 その点で考えると今後は5Gの普及により、ミックスドリアリティ(MR)を駆使した演出が加えられた配信ライブなど、リアルイベントでは不可能な形のものが行われるようになる可能性も十分に考えられる。またもし、通常ライブと有料ライブ配信で異なる演出が行われるようになれば、ライブの楽しみ方自体を個人が好みや状況に応じて選ぶことができる“ライブ体験の民主化”にもつながるのではないだろうか?

 このようにテクノロジーの進化は、配信ライブに新しい価値をもたらす可能性を秘めている。それだけに有料ライブ配信の需要は配信ライブの発展とともにさらに拡大していくはずだ。

 なお、ZAIKOでは現在、Vimeoでのライブ配信サービスを提供しているが、今後はその他の動画配信サービスとの連携も視野に入れているようで、(実際に同社に問い合わせてみたところ、ceroの「Contemporary http Cruise」ではVimeoが活用されたとのこと)活用できる配信プラットフォームが増えていくことを含めて今後のサービスの発展にも期待したい。

■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
Twitter:@LadyCitizen69

〈Source〉
https://camp-fire.jp/projects/view/241091
https://zaiko.io/press/8/zaiko-launches-a-new-livestream-electronic-ticket-that-reduces-the-burden-on-event-organizers-in-response-to-the-new-coronavirus
https://www.up-now.jp/articles/id/79127

画像:https://www.pexels.com/ja-jp/photo/1251743/

 

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