Snap、最新メガネ型カメラ「Spectacles 3」を発表 ポストスマホ時代を「予習」か?

スマートグラス・エコシステム時代の「予習」?

 前述したように、商業的に成功しているとは言い難いSpectaclesシリーズの開発に、なぜSnap社は固執するのだろうか、という疑問は当然沸くだろう。ビジネスメディア『Fast Company』は14日、こうした疑問に回答するような内容の考察記事を公開した。

 同記事によると、Snap社がSpectaclesシリーズを継続的に開発する真の目的は、約10年以内に到来するであろうスマートグラス・エコシステムを見すえているからなのだ。スマートグラスに関してはAppleとGoogleがそれぞれの水面下で開発を進めていると見られており、ポストスマホ時代の覇権を握るための重要製品と考えられている。それゆえ、Spectaclesシリーズは短期的な利益を上げることを目的に開発されているわけではない。スマホアプリとメガネ型カメラが連携する同シリーズの開発を通して、来るべきスマートグラス・エコシステムに適応するためのノウハウを蓄積しているというわけなのだ。

 テック系メディアUS版『WIRED』が13日に公開した記事においても、Fast companyと同様の見解が示されている。この記事では、そもそもSnaps社は製造した「Spectacles 3」の全部を売り切ろうとも思っていない、という同社のスポークスパーソンの発言が引用されている。そして、そんな同メガネの存在意義とは売るためのものではなく未来について「学習」するためのものである、と語る。なお、この文脈における「未来」とはスマートグラスを中心としたエコシステムが構築されたポストスマホ時代を意味している。

 「Spectacles 3」は、現時点では奇をてらったカメラに過ぎないと言われても仕方のないところがある。しかし、もしスマートグラス・エコシステムが実現した未来から振り返ってみたら、恐ろしく先見の明に富んだ製品と評価されるかも知れない。

トップ画像出典:Snap公式サイト・ニュース記事「Introducing Spectacles 3」より画像を引用

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

関連記事