フィル・スペンサーが“ビデオ ゲームの安全性”についての文章を公開 すべての人がゲームに触れられる世界へ
マイクロソフト社が、米国時間2019年5月20日に公開されたオフィシャルブログ“Video games: A unifying force for the world”の抄訳を日本法人サイトの「ニュースセンター」内にて公開した。
https://blogs.microsoft.com/blog/2019/05/20/video-games-a-unifying-force-for-the-world/
この文章は、マイクロソフトの Gamingエグゼクティブバイスプレジデントであり、Xboxプロジェクトの責任者、フィル・スペンサー氏によるもの。ゲームがなんのためのものであり、安全なもの、有意義なもので、それを守るために取り組んでいくこと、業界が一丸となるべきことについて、静かに、しかし熱く記されたテキストとなっている。本稿では、その要点をまとめていく。
ゲームはすべての人のためのもの
スペンサー氏は、科学技術者であった父とゲームを楽しみ、制作までした経験を振り返り、「ゲームはすべての人のためのもの」だと訴える。初心者でも、根っからのeスポーツファンであっても、その立場に関係なく、自由にゲームをプレイし、その楽しさを享受できることを伝えた上で、「もし皆さんが、ゲーマーは主として10代の男性であると思われているのであれば、是非考え直して欲しいのです。子供たちと一緒に遊んでいる両親、世界を探検する冒険者、数学の謎に挑んでいる先生達、遊びを通して孫について知るおばあさん、そして彼らの家族とつながる兵士たちなどがいて、今や26億人もの強いコミュニティであり、現在のほとんどのゲーマーは大人で、半数近くが女性です」と、グラデーションはあれ、実際にあらゆる人がゲームを楽しんでいることをあらためて示した。
ゲームはすべての安全を促進し、保護する必要がある
スペンサー氏は、「ゲームは安全な環境である必要があります」と続ける。「ゲームとその世界的なコミュニティの広がりは、映画や音楽よりも大きい、世界有数の文化産業になってきましたが、それは同時にデジタル社会でのヘイトスピーチ、偏見、差別などを生み出すこともあります」と認めた上で、「ゲームは平等のために独自にデザインされています。私たちは、年齢、教育、社会、人種、宗教、政治、性別、志向、民族、国籍、または能力に関係なく、平等の立場に立っています」と訴えた。
「ゲームは、一緒の考え方を持つゲーマーをひとつにするだけではない」ーーつまり、共通した趣味のユーザーを集めてタコツボ化を招くものではなく、違った人々を「普遍的な楽しさという共通言語を通じて結びるける」と、彼は言う。分極化や偏見に対抗するために効果的なのは、所属するグループ外の人と関係を持つことだという研究(参考:Intergroup Contact Theory)にも言及し、現実の生活のなかで決して出会うことがない人々と、予期せぬ友情を育ませてくれるのが、ゲームの優れた点だと語った。
またスペンサー氏は、「ゲームは時間の無駄だ、と言う皆さんに、私はゲームの健康や社会的価値に関する文献を示したいと思います」として、ゲームの肯定的な影響についてまとめた研究やデータを示した。ゲームが自閉症の児童が新しい友人を作ることや、アルハイマー症の高齢者の記憶改善の助けになるという研究(参考:NewScientist、Alzheimer's Research UK)、ゲームがリーダーシップ育成、意思決定の改善、ストレスや抑うつの軽減に役立ち、子供の計算力や共感性の育成にも寄与するという調査結果(参考:Forbes、THE WEEK、Getting Smart Research Report)などが、その好例だ。