インスタグラマービジネスは曲がり角に? Instagram、「いいね」数の非表示テスト実施 

「いいね」は捏造できる

 「いいね」の数を稼ぐことによって拡大してきたインスタグラマービジネスは、「いいね」数を増やすことに注力するあまり不正行為に手を染めるという負の側面も見られるようになった。デジタル写真誌『PetaPixel』は先月、こうしたInstagramのダークサイドを報じる記事を公開した。この記事では、人気フォトグラファーにしてインスタグラマーでもあるTrey Ratcliff氏が出版した書籍『インフルエンスのもとで ― いかにしてInstagramでだましてリッチになるか』の内容を紹介している。

 同書籍には、同氏が偽のInstagramアカウントを作ってインスタグラマーとしてスポンサーと交渉するまでの顛末が描かれている。偽のアカウントを作りにあたり、同氏は自身のフォロワー3万人に対して一人平均40ドル(約4,500円)支払って協力を呼びかけた。この協力によって、フォロワー数104,000人のアカウント@genttravelが誕生した。そして、この偽アカウントのスポンサーを探すためにマーケティング会社に働きかけたのだ。同氏がマーケティング会社と交渉するなかでわかったのは、マーケターたちは投稿内容や投稿したユーザのことなど大して気にとめてなく、もっぱら(偽物の)「いいね」の数だけに注目していたという事実であった。

 自身が執筆した書籍に関して、同氏は「わたしはソーシャルメディアに関わっていることで苦痛を感じていました。そうした苦痛こそがこの本を執筆した理由なのです」と述べている。また、ソーシャルメディアが悪用されれば人々に苦痛を与えるだろう、とも語った

 影響力の大きいSNSのひとつであるInstagramが正式に「いいね」数を非表示にすれば、インスタグラマービジネスは根本的な再考が求められるだろう。そして、この改革の影響はSNSを活用したマーケティング全体にも波及するかも知れない。

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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