PSで攻殻のゲームが出てたって知ってました? 『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』

9課の仲間に叱られたい!

 アクションゲームとしての高い完成度(※9)と、原作漫画への深いリスペクトを兼ね備えた本作ですが、“どうしてもこの機能だけは欲しかった!”と言いたくなる点があります。

 それは、プレイ中に9課のメンバーとコミュニケーションがとれないこと。プレイ前のブリーフィングでは9課のメンバーに「任せたぞ、新人」など激励の言葉をもらえますが、一度プレイが始まってしまえばだーれも喋りません。フチコマに乗って戦うのも自分だけです。

強制スクロール、タイムアタック、水上ステージなどステージごとに多彩な戦いが楽しめる。

 一癖も二癖もあるキャラたちが、“スタンドプレーから生じるチームワーク”(※10)で問題に立ち向かうのが『攻殻』。なのに、これではチームプレイもクソもありません。容量の問題?まあ、たぶんそうなんでしょう。

 百歩ゆずって孤軍奮闘させられるのは我慢するとしても、ゲーム中に無線で味方が喋ってくれる『スターフォックス』的なシステム(※11)ぐらいは欲しかった!被弾したときに素子が「修理代は給料から天引きだな」とか、「新入り、無事か!」とか言ってくれれば、それだけでこのゲームに100点満点あげたくなります。なりませんか?

 という、私の勝手な要望はともかく、本作はよくできた“フチコマシュミレータ”であっても、公安9課のロールプレイができるゲームにはなっていません。ミッション合間のアニメーションとブリーフィングは、たしかに手が込んでいます。けれど、実際のところブリーフィングとゲームプレイは、どうにも結びついていないのです。

 PS1のゲームに今さら何を言ってもしょうがなくはありますが、素子に叱ってほしかったなあ……。

 『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』は、まだまだ中古屋でも手が届く値段(※112)で売っているので、気になる方はぜひプレイしてみてください。ただし、くれぐれも3D酔いにはご注意を。(※12)

※9 全体的に難易度は高め。ボス戦で負けると雑魚戦やり直しというプレステっぽい不親切さも相まってイライラする。

※10 神山健治監督によるTVアニメ版『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』での荒巻課長のセリフ。

※11 「オレの獲物に手を出すな」「お前もだんだん親父に似てきたな!」「ボクだよフォックス~!」

※12 ちなみに私は1000円ほどで買えました。説明書のイントロ文が長くてカッチョいいです。

※13 「なんでこの記事こんな註が多いんだ?」と思われた方のために説明すると、原作『攻殻機動隊』は欄外の補足説明文が異様に多いのです。

■脳間 寺院(のうま・じいん)
京都生まれポケモン育ち、ボンクラオタクはだいたい友達。「ゲームをもっと面白く」をモットーに記事を書くゲームライター。実写版『攻殻』を見に行ったら8割ぐらい寝てしまい、ビートたけしが活躍するシーンしか記憶にない。
Twitter:@noomagame

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