黒田隆憲の楽器・機材キュレーション

ユニークなフォルムの“子ども向け”シンセ、段ボール製キーボード……ライブ映えしそうなガジェット楽器3選

Keith McMillen Instrument & Pearl「MalletSTATION model EM1」

「MalletSTATION model EM1」

 「ガジェット楽器」というにはいささか大きく本格的だが、Keith McMillen InstrumentとPearlが共同開発したエレクトリック・マレットコントローラー「MalletSTATION model EM1」を最後に紹介したい。こちらは3オクターブの調整可能な、電子式マレットコントローラー。マレット・ダンプニング(4本のマレットを用いて、音の余韻をコントロールする奏法)や、アフタータッチ(鍵盤を押し込んで持続音をコントロールする奏法)など、非常に微妙なニュアンスにも反応する「KMIのスマートファブリックセンサー技術」を採用している。そのため、鍵盤打楽器ならではの独特のサウンドを非常にリアルに再現してくれるのだ。

 本物の鍵盤打楽器に比べて持ち運びも遥かに便利。そういう意味でも「ライブ向け」だと思うのだが、筆者としては、あえて打楽器鍵盤以外の音色、例えばピアノやギター、シンセベースなどをEM1にアサインして、それをマレットで演奏したらどんな音がするのか大いに気になる。そうしたイレギュラーなパフォーマンスも、きっとライブ映えすることだろう。価格は999ドル。

 以上、3機を紹介した。シンプルで使いやすく、そして見た目のインパクトが大きいガジェット楽器は、ライブパフォーマンスに絶妙なアクセントを与えてくれることだろう。

■黒田隆憲
ライター、カメラマン、DJ。90年代後半にロックバンドCOKEBERRYでメジャー・デビュー。山下達郎の『サンデー・ソングブック』で紹介され話題に。ライターとしては、スタジオワークの経験を活かし、楽器や機材に精通した文章に定評がある。2013年には、世界で唯一の「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン公認カメラマン」として世界各地で撮影をおこなった。主な共著に『シューゲイザー・ディスクガイド』『ビートルズの遺伝子ディスクガイド』、著著に『プライベート・スタジオ作曲術』『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』『メロディがひらめくとき』など。

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