黒田隆憲の楽器・機材キュレーション

ユニークなフォルムの“子ども向け”シンセ、段ボール製キーボード……ライブ映えしそうなガジェット楽器3選

 誰もが気軽に、おもちゃ感覚で演奏できる「ガジェット楽器」。前回は「曲作りに使えそうなガジェット楽器」をテーマに3つほど紹介したが、今回は、その個性的なフォルムや斬新な操作性によって、ライブで使ったら目立つこと間違いなしのガジェット楽器を3つ紹介していこう。

 Playtime Engineering 「BLIPBLOX」

「BLIPBLOX」

 毎年1月下旬にアメリカで行われている世界最大規模の楽器展示会『The NAMM Show』が、今年もカリフォルニア州のアナハイム・コンベンション・センターにて開催されたが、そこでひときわ注目を集めていたのがガジェット楽器「BLIPBLOX」である。

 サンフランシスコのスタートアップ企業・Playtime Engineeringによって開発された「BLIPBLOX」は、対象年齢が3歳からの「子供向けシンセサイザー」。まるでゲームの子機か、あるいは『幻魔大戦』に出てくる異星のサイボーグ戦士・ベガの頭部を彷彿とさせるような(?)、白を基調としたユニークなフォルム。色とりどりの大きなノブやツマミ。見た目はとてもポップでとても楽器には見えないのだが、キッズ楽器にありがちな「ボタンを押すと、あらかじめ決まった音楽が流れ出すオモチャ」などではなく、自分で自由に音作りができる、れっきとしたシンセサイザーなのだ。

Blipblox Studio Sessions

 スペックは、オシレーター×2、フィルター×1、エンベロープ×1、LFO×2。複数のプリセットの中からオシレーター波形を選択し、アタックタイム/リリースタイムをそれぞれ設定しながら音色を作っていく。色分けされた矢印によって、音がどのように加工されていくのかを感覚的に理解できるので、シンセ初心者にもうってつけだ。ドラムのオン/オフや、フィルターの開け閉めをリアルタイムで行うことももちろん可能。ステージに持ち込んで、ちょっとした飛び道具で使ったら目立つこと間違いなしだ。

 MIDI入力端子を備えているため、MIDIキーボードと繋げて音源として使用することも可能。電池で動作し(単3電池3本。アダプターでも駆動可能)、スピーカーも内蔵されているので、アウトドアでも活躍してくれそうだ。価格は159ドル。日本での発売は未定だ。

Yudo「KAMI-OTO」

「KAMI-OTO」

 続いて紹介するのは、段ボールでできたワイヤレス音楽キーボード・キット「KAMI-OTO」。段ボールで作る楽器というと、任天堂「Nintendo Labo」(4月20日発売)が有名だが、Yudo社製の「KAMI-OTO」はその1年前から発売されていた。

 現行の「KAMI-OTO」は、Apple Magic Keyboard 2の上に段ボール製のキーボードを乗せて演奏し、Bluetoothで繋いだiPadから音を出すという仕組みだったのだが、これを大きく改良した最新版が、今年の『The NAMM Show』に出展され話題となっている。

 現在、試作段階だというこの新たな「KAMI-OTO」には、USB、アンプ、スピーカーを搭載した基板がついているため、Apple Magic Keyboard 2は不要。iPadなどとUSB経由(Bluetooth経由も開発予定)で接続し、独立したMIDIキーボードとして利用することが可能になった。キーボードスイッチはシリコンゴム製と本格的な上、鍵盤数は2オクターブをカバーする24鍵なので、ライブでも威力を発揮してくれそうだ。何より、段ボールの鍵盤で演奏している姿は、なかなかのインパクトなのでは?

 なお、Yudoのウェブサイトでは現在、クラウドファンディングの「kickstarter.com」にて新「KAMI-OTO」をファンディングするべく試作を行っている。興味のある方は、一度覗いてみては。

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