『VIVANT』大団円と劇場版への伏線 “薫”二階堂ふみの表情が意味するものとは?

 11月8日に放送された『VIVANT』(TBS系)第24話は、今作らしさが詰まった最終回だった。

 エリシャ・ママドフ(Manaf Dadashov)から核融合データにたどり着くヒントを聞き出した乃木(堺雅人)だったが、タイラン(Mirza Aghabayli)に捕縛され、シンシーに身柄を引き渡される。用済みになった野崎(阿部寛)はリュウ(堺雅人)に撃たれる。これまでかと思われたその時、思わぬところから伏兵が現れた。

 タイランの隣にいた秘書の胡は中央特務局に所属する諜報員であり、シンシーを監視していた。胡はタイラン、シンシーを素早く始末したのち、リュウに銃口を向ける。しかし、死んだはずの野崎が胡の背後に立っていた。

 第2シーズンで最強のライバルとして立ちはだかったハンが一発退場したことはショックだったし、盤面をひっくり返した胡すら出番を終えると消されてしまい、エリシャは自ら幕引きを図った。主要キャラを残したリセットは、物語が次のステージへ移行したことを知らせていた。

 前話までの展開にやや食傷気味だった筆者は、第24話を観て自身の浅はかさを思い知らされた。モブキャラにまんまとしてやられた。野崎の言動に違和感を覚えたのは良かったが、リュウと乃木の入れ替わりはないと判断し、その時点で考えることをやめたのだ。野崎とリュウがつながっている可能性を深く追求しなかったのは、要反省である。

 野崎がリュウと裏で取引していることは、たびたび示唆されていた。リュウが権限を利用して野崎をもてあそぼうとするシーンはその最たるものだが、シャキ城から200名の兵士が移動したことや、チンギス(バルサラハガバ・バトボルド)に送られたメールなど、野崎一人では不可能な行動にはリュウが関与していて、つまりずっと以前から野崎とリュウは結託していたのだ。ヒントを小出しにしながら、決定的なところで怪しまれないように振る舞った演者と演出の勝利である。

 ストーリー上は、察知していた乃木や公安部長の佐野(坂東彌十郎)をのぞいて、敵味方のほとんどが野崎の手のひらの上で転がされていたことになる。ちなみに、佐野がポリグラフ検査(噓発見器)で反応した際の「P300」は刺激から300ミリ秒後に現れる事象関連電位と呼ばれる脳波で、脳指紋とも呼ばれる。佐野はリュウが生きていることや進行中の作戦があることを別班に隠し通そうとしたのだった。

 第2シーズン中盤以降、拘束されてから動きの少なかった野崎は裏で活発に動いていた。画面に映らないところで事態が進展する『VIVANT』らしさは、他の主要キャラでも見られた。死んだはずのベキ(役所広司)が代表で、新庄(竜星涼)もそうだが、なんといっても第24話は薫(二階堂ふみ)である。

 物語上は、薫はジャミーン(本間さえ)を連れてバルカへ赴き、乃木のプロポーズを受け入れるのだが、ところどころ不穏な描写があり、劇場版の伏線としか考えられない。ここで薫の正体に関する疑問が再燃する。世界医療機構の医師だった薫は、アディエルやジャミーンと交流があり、ジャミーンのお尻に傷があることを知っていた。傷があることだけでなく、そこにカードがないことも知っていた。何が言いたいかと言うと、薫は核融合データを以前から探していて、それでジャミーンたちと接触したのではないか。

 薫が何らかの情報機関に所属している可能性はありえる。第2話で、薫は野崎に別班について教えてほしいとしきりに要求していた。ただもし薫がスパイなら、人間の善悪を見抜くジャミーンがなぜ薫を警戒しなかったのかという疑問がある。これに対して、薫は医師としての良心が勝っており、そのため見抜かれなかったのだという説明が可能だ。

 アディエル(Tsaschikher Khatanzorig)が隠したデータはあっさり見つかり、ジャミーンが指紋認証をパスして、核融合データは別班の管理下に置かれた。エリシャが話した「とてつもない冒険」は核融合データの入手ではなく、その先の展開である可能性が高い。その前に、幸せいっぱいの乃木は別班饅頭を見逃しており、何かを企んでいるような薫の表情とも相まって波乱が予想される。

 第2シーズンは第1シーズンの焼き直しと思われる描写も散見される中で、シャキ城での別班員奪還作戦やチョッキー(Tanapak Jongjaiphar[)ら新キャラの活躍、任務と私情のジレンマなど新しい試みもみられた。長野(小日向文世)の正体やアディエルが残した謎など、第1シーズンからの宿題に答えた点は評価できる。重さを測る乃木の能力はどこかで使ってほしかったが。「終わり良ければ」で大団円を迎えつつ、続編への期待を持たせた『VIVANT』は一筋縄ではいかない作品だと再認識した。

■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、内野謙太、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、井上順、林遣都、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、宮下今日子、Tanapak Jongjaiphar、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs

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