『アンメット』続編は何を描くのか? 杉咲花×若葉竜也がテレビドラマにもたらした“革命”
杉咲花主演ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』の続編(カンテレ・フジテレビ系)が2027年1月より放送される。不慮の事故で脳を損傷し、「過去2年間の記憶がない」「今日の出来事も明日にはすべて忘れてしまう」という重い記憶障害を抱えた脳外科医・川内ミヤビ(杉咲花)の“その後の人生”を描く。完結した原作コミックスに描かれている“ある重要なエピソード”をベースに、ドラマならではの視点も交え、前作で描き切れなかった領域へと踏み込む、“記憶と心の物語”が描かれていく。
『アンメット』続編、2027年1月期放送決定 杉咲花「想像を超えるドラマを届けたい」
杉咲花主演ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』の続編が、カンテレ・フジテレビ系月10ドラマ枠で2027年1月より放送されるこ…2024年に放送された前作は熱狂的な支持を獲得し、2025年日本民間放送連盟賞テレビドラマ部門最優秀賞、東京ドラマアウォード2024作品賞優秀賞・助演男優賞(若葉竜也)、ギャラクシー賞(2024年6月度月間賞/第62回選考奨励賞/第62回テレビ部門個人賞:杉咲花)、第49回エランドール賞新人賞(若葉竜也)など多くの賞に選出された本作。ドラマライターの苫とり子氏も「忘れられないドラマの1つ」と当時を振り返る。
「ミヤビと同じ脳外科医・三瓶を演じた若葉竜也さんが、過去に“誰かが何かを思い出す瞬間をワンシーンでも作れたらいいなという思いでつくっていて、そこにたどり着きたいと思っているんですよね。思い出し笑いみたいに時間が経ってからふと思い出してもらいたい”とおっしゃっていて(※1)、まさにそういうドラマだったなと。医療ドラマではあるんですが、手術後も続いていく患者さんの日常に光を当てたところが新しかったと思います。脳の病気は治療をしたらそれで終わりではなくて、後遺症が残ることも多いなかで、たとえばサッカーに打ち込んでいた少年が以前のようにプレイできなくなったり、俳優が思うように言葉を出せなくなったり、それまで自分の支えだったものを続けたくても、思うようにいかないことがある。その“アンメット”=“満たされない”思いを抱えながらどう今日・明日を生きていくかということがテーマだったと思います。作品の根幹にあるのは患者さんたちの日常だったからこそ、ドラマチックな出来事に頼らず、普段なら見過ごしてしまうような何気ない瞬間をすごく丁寧に拾っていて。俳優さんの細かい視線の動きだったり、私たちが見ている日常の一部をカメラできちんと追っていくことが徹底されていたと思います」
苫氏は『アンメット』の繊細な表現を象徴するシーンとして第9話を振り返る。
「象徴的なのは第9話の長回しのシーンで、若葉さん演じる三瓶が、重度障害者だった兄についてミヤビに話す場面ですね。あの場面は、14分間の長回しで撮影されたそうです(※2)。三瓶がその場で言葉を探して、ミヤビが一つひとつ受け取っていく。2人きりの会話をそっとのぞき見しているようで、途中からドキュメンタリーを観ている感覚になりました。テレビドラマはどうしてもわかりやすさを重視しなければならない部分があったり、いってしまえば“流し見”でも通用するように作られる場合があると思うんですが、この作品は全部を観たくなるというか、視線が外せなくなる凄みがあります。若葉さんの言葉の紡ぎ方一つひとつも、杉咲さんの反応すべてを取りこぼさずに観ていたくなるようなシーンがたくさんありました」
『アンメット』が成立していたのは、主演の杉咲の芝居があってこそ。苫氏は杉咲の芝居について「本当にその人にしか見えなくなる」と評した。
「『アンメット』が放送された当時、杉咲さんは『市子』(2023年)をはじめとした映画作品で非常に注目されていました。『アンメット』を機にドラマ界でもさらに注目されることになり、同年の『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)では、東京ドラマアウォード2025の助演女優賞を受賞していますね。杉咲さんの芝居は“演じる”というより“生きる”という言葉がぴったり当てはまるくらい、本当にその人にしか見えなくなる瞬間がたくさんあります。相手の芝居を受けて、その瞬間に役の人物として感じたことが、ふっと表情や声に出る。反応するタイミングまで決まっていたような感じがなくて、目の前の相手の言葉で、いま本当にこの人の気持ちが動いたんだなと伝わってくるんです。その後も映画では『ミーツ・ザ・ワールド』(2025年)、ドラマでは『冬のなんかさ、春のなんかね』(2026年/日本テレビ系)と注目作が続きました。杉咲さんは映画で培った繊細な演技を、テレビドラマにすごくいい意味で持ち込んでいるんだろうなと思っていて。やっぱり映画作品では観客は2時間集中して画面を観るので、視線の動きとかちょっとした言い淀みなど細かい部分まで見つけられますが、テレビドラマの視聴者はもう少しラフに作品と向き合うと思います。そういうドラマの体験性に映画のディテールをうまく合わせられる俳優さんだなと思っています」
いまだ多くの視聴者の記憶に残り続けている『アンメット』。苫氏は最後に続編への期待についてこう語った。
「前作は私にとって、本当にきれいなラストだったんです。だからこそ、その先が描かれると聞いて少し不安もありました。でも、あの作品を作った方たちへの信頼はすごく大きいので、やっぱり楽しみです。前作では、患者さんたちが治療を終えたあと、どんなふうに日々を送っていくのかが描かれていましたよね。続編では、そのまなざしがミヤビ自身のその後の暮らしにどう向けられるのか。演出のYuki Saitoさんがコメントで“共生”というテーマに触れていたので(※3)、ミヤビが周りの人たちとどう関わりながら生きていくのかを見届けたいです」
参照
※1. https://realsound.jp/movie/2024/05/post-1673575.html
※2. https://www.cinematoday.jp/news/N0143509
※3. https://realsound.jp/movie/2026/11/post-2573038.html
■放送情報
『アンメット ある脳外科医の日記』
カンテレ・フジテレビ系にて、2027年1月スタート 毎週月曜22:00〜放送
出演:杉咲花ほか
原作:子鹿ゆずる(原作)・大槻閑人(漫画)『アンメット-ある脳外科医の日記-』(講談社『モーニング』所載)
脚本:篠﨑絵里子、市川貴幸
演出:Yuki Saito、宮脇亮、安食大輔
プロデューサー:米田孝、中林佳苗、本郷達也、村山太郎
音楽:fox capture plan
制作協力:MMJ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
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