『ポリティカルパン』香取慎吾がまさかの登場 政治への“無関心”が本格的に問われる展開に

 まさに「目の覚めるような人事」だった。

 『ポリティカルパン』(フジテレビ系)第5話の終盤、画面下部にエンドロールが流れ始めると、違和感がよぎった……香取慎吾!? その国民的スターを示す文字列は、もはや反射的に目に飛び込んでくるようになっているのかもしれない。だが、香取の姿はこの話ではどこにも出てこなかった。こちらの混乱を残したまま、映像は国自党の総裁選挙へと移る。

 目の覚めるような人事。その言葉に、次の総裁選挙で驚きの人物が担ぎ上げられるのかと、落ち着かない気持ちで観ていた。「神輿は軽ければ軽いほうがいい」という士郎(草刈正雄)の言葉に、実力も人望もあるが大臣経験のない夏目(高橋一生)か、息子の颯(寛一郎)か、あるいは雅(河合優実)かと、落ち着かない気持ちでいた。そんな最中、総裁として呼ばれたのが玉矢吉実(香取慎吾)だったのだ。

「ってか、誰!?」

 そんな言葉が思わず口をついて出てしまった弥生(石原さとみ)の思いは、きっとニッポニア国民の多くの人が抱いた感想だっただろうし、視聴者の驚きとも重なっていたのではないか。

この30年で、ニッポニアに何があったのか

 第5話で紐解かれたのは、今日のニッポニアに至るまでの歴史だった。先の戦争で大きな傷を抱えながらも高度経済成長を遂げたニッポニアが、なぜ今のような停滞した国になってしまったのか。その分岐点はどこにあったのか。もちろん物事は複雑で、ひとつの事象に対して「ここが原因だった」とは断定できない。けれど、大きな流れが一気に力を増したターニングポイントは存在する。それが、小早川一郎(寺泉憲)の首相就任だった。

 国営事業が次々と民営化される構造改革を進め、効率化、財政負担の軽減を目指した一郎。しかし、その結果生まれたのが利益追求型の社会だった。採算が取れない地域からは撤退せざるをえなくなり、人件費削減を目的とした非正規雇用が増えていく。働けど働けど、給料は上がらない。一郎が掲げた構造改革によって、国民の格差が広がる一方だった。

 その波紋は、幼い弥生の生活にも直撃していた。前話に登場していた弥生たちが暮らしていた「クリスタルハウス」とは、山のなかにある一軒家。頼るあてがなく行き場のない人たちが身を寄せ合って暮らしていた場所だった。だが、その場所も構造改革によって産廃ビジネスが民間に開放されると、大企業がごみ処理施設を建設するために立ち退かなければならなくなる。

 母親たちが一縷の望みをかけて陳情した女性政治家が、「公共事業が減った分、利権の受け皿がいるっていうんだから、どうしようもないわよ」と本音をこぼしていたのを弥生は見ていた。そして、「私に頼むなら献金持ってこいっての」という言葉とともに強く刻まれた印象的な指輪の記憶。

 当時は、その女性政治家が誰かはわからなかった。だが、今になって樺島響子(余貴美子)だと気づき、愕然とする。弥生が官房長官室のお宝を狙うきっかけとなった張本人。ダークなお金について痛烈に批判していた響子ならば、この国を変えられるかもしれない。「あの人なら良かったかも、総理大臣」とまで弥生に思わせてくれたその人だったとは。弥生の政治への恨みが、また一つ積み重なったように見えた。

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