一ノ瀬颯、“大人のラブストーリー”の魅力を語る 「好きってなんだか分からなくなってきた」

波佐見町でのロケで見つけた一ノ瀬流の“型”

ーー作中では緊迫感のあるシーンも多いですが、カメラが回っていないところのお二人はどうでしたか?

一ノ瀬:本当に楽しく会話していました(笑)。松井さんはお芝居への向き合い方が真摯で、周りもすごく見ていらっしゃる方です。窯のメンバーみんなで実際の波佐見焼を買って、「これはどこの窯のものかな?」と見せ合ったりもして、すごく和気あいあいとしていました。波佐見弁のセリフも大変な中、監督からアドリブを求められることもあったのですが、みんな前向きに楽しみながらやっていました。僕は波佐見弁を喋るシーンは少なかったですが、窯の一員として一緒に楽しませてもらいました。

ーー今回は陶芸家という役どころですが、職人としての作業の難しさはありましたか?

一ノ瀬:所作に慣れていることが大前提なので、そこは難しかったですね。皿板を担ぐところや、釉掛けの作業などは、慣れている感が出ないと観ている人も冷めてしまう。どうすればずっとやっているように見えるかと考えながらやっていました。でも、先生方に教わっているうちに、自分なりの「型」ができ始めて。皿板を棚にしまうときも、「肘で支えた方が安定するな」とか、釉掛けも「人体構造的にこう動かした方がスマートだな」と自然と見つけていったんです。結果的に、それが龍生らしさなのか一ノ瀬らしさなのかは分かりませんが、自然と自分の型が出来上がっていくのは楽しかったです。

ーーご自身で見つけられた「型」は、実際に撮影でも採用されたのですか?

一ノ瀬:そうですね。明確な決まりがないことも意外と多いので、変にがんじがらめにならず、のびのびとやらせてもらいました。

ーーそれは、スタジオではなく波佐見町という実際の場所で撮影した影響も大きいのでしょうか?

一ノ瀬:その影響はすごく大きいと思います。空気が綺麗でしたし、人の優しさやゆったりとした時間の流れを感じられました。原作者の小玉先生も漫画の中で実際の景観を綺麗に描かれていますが、やはり実際の場所で、嘘のない環境で撮れることに勝るものはないと痛感しました。僕はいつも頭で考えすぎてしまうタイプなのですが、この環境のおかげで変に頭で考えすぎずに自然体で役に向き合うことができました。

ーー波佐見町だけではなく、フィンランドでの撮影もあったと伺いました。

一ノ瀬:はい、撮ってきました。すごくうれしかったです。日本とは街並みがまったく違って、石畳やレンガ造りの建物が広がり、トラムがたくさん走っていて。龍生はこういうところにいたんだなと肌で感じた上で演じられたので、お芝居の大きな後押しになりましたし、映像的にも素晴らしいものが撮れていると思います。

ーー本作の「大人のラブストーリー」としての魅力はどこにあると感じていますか?

一ノ瀬:若い頃の恋愛だと、感情が0か100かだったり、単純な気持ちで動くことが多いと思うんです。でも今回は、同じ器を作るという方向性は同じでも、最初は「絵付けが要る、要らない」で対立する。そこから始まっていても、大人だからこそ「いいものはいい」と認め合えるし、こだわる部分はこだわる。年齢を重ねたからこそ、お互いに仕事に対して何かをこじらせている部分も多くあって、その“仕事”が関わってくることで恋愛に発展していくのは、大人のラブストーリーならではだと思います。

ーー仕事への向き合い方が、恋愛への向き合い方にも直結しているのですね。

一ノ瀬:そうですね。「これは好きという気持ちなのか?」と自分でも分からないところからスタートするんです。最近、僕の周りでも「好きってなんだか分からなくなってきた」と言う人が多いんですが、その気持ちも分からなくはないなと。ただ一緒に過ごして恋愛になるというより、お互いの器への向き合い方を見て「悪くないな」と思わされたり、勘違いがあったりして、そこからだんだんと惹かれていく。観ているともどかしくなるような、大人ならではの意地の張り合いや言えない思いがたくさん詰まっています。複雑で不器用な部分もありながら、いろいろな方に共感してもらえる内容になっているんじゃないかなと思います。

■放送情報
夜ドラ『青の花 器の森』
NHK総合にて、毎週月曜から木曜22:45~23:00放送(全32話)
※NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信予定
出演:松井玲奈、一ノ瀬颯、藤間爽子、安藤玉恵、前田拳太郎、岩永洋昭、山口森広、三浦貴大、莉子、のせりん、利重剛、上川周作、財前直見、西田尚美 ほか
原作:小玉ユキ
脚本:泉澤陽子
演出:深川栄洋
音楽:福廣秀一朗
主題歌:秦基博「フラグメンツ」
制作統括:井上衛(レプロエンタテインメント)、遠藤理史(NHK)
プロデューサー:森永恭平(レプロエンタテインメント)、本田七海(レプロエンタテインメント)
写真提供=NHK

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<応募締切>
11月18日(水)

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