奥寺佐渡子、『LOST10』で横浜流星に託した思い 脚本以上の“人間らしい奥行き”に期待

奥寺佐渡子、『LOST10』に込めた思い

 横浜流星が主演を務める金曜ドラマ『LOST10』(TBS系)が現在放送中だ。本作は、『Nのために』(TBS系)、『最愛』(TBS系)など数々の名作を生み出してきた塚原あゆ子監督と新井順子プロデューサー、そして脚本家・奥寺佐渡子の黄金トリオが再集結して完全オリジナル脚本で描き出すヒューマンサスペンス・エンタテインメント。予測不能なドラマに挑んだ奥寺に、オリジナル作品ならではの苦労をはじめ、キャストを想定したキャラクター造形や、徐々にスケールアップしていく物語の構成、そして「すべてを疑え」に込められた意味などについて、たっぷりと聞いた。

脚本作りのモットーは「とにかく人に楽しんでもらいたい」

――原作のないオリジナルサスペンスということで、その面白さ、難しさを感じたところはありますか?

奥寺佐渡子(以下、奥寺):ドラマの一視聴者として、オリジナルドラマを観るのが楽しみで、「次、どうなるんだろう?」「先が全然わからない」と、いつも1週間を楽しみに待っているんです。その楽しみを少しでも脚本の中に再現できたらと思って書いていました。初めて本作の第1話を観たときは、本当に面白くて、この仕事をやってよかったと思いました。撮影もみなさん大変だったと思うんですけど、ちゃんとそれが画面に残っていますし、役者さんたちのお芝居も本当に素晴らしかったです。想像以上のキャラクターに膨らんで、心を込めてキャラクターを作り上げてくださったことが伝わってきました。難しいところは書き始める前のリサーチですかね。原作もののときは、作家さんが丁寧に取材してくださったり、資料を読み込んでくださった内容が小説に反映されているんですけども、それをすべて一からみんなで頑張ってやるというところで、ちょっと気が遠くなるような感じで、そこが一番大変なところでした。

――奥寺さんが脚本としてモットーにしていることは今作にどのようにして反映されていますか?

奥寺:とにかく人に楽しんでもらいたい、というその一点を大事に書いています。特にテレビドラマは長丁場なのでなるべく飽きずに、最後まで登場人物に興味を持って観てもらいたいというのは、どのドラマでも変わらずに思っていることです。この作品もスケールは大きいかもしれないですけど、その一人ひとりの気持ちをちゃんと伝えられたらという気持ちで書いています。

――昨今は考察ブームでもあると思いますが、その傾向をどう捉えていますか? 考察好きな人たちに対して挑戦した部分はありますか?

奥寺:それはあまりなかったです。いろいろな考察が出てきて、それを読んでるだけでも、私は楽しいです。考察ドラマとして楽しんでいただいてもいいし、バディモノとして楽しむ方もいらっしゃるでしょうし、様々な人間ドラマとして楽しむ方もいらっしゃると思うんですが、好きに自分の観たい形で観ていただければなと思います。

当て書きをした横浜流星への絶大な信頼

――キャラクター設定を考える上で意識した点はありますか?

奥寺:書き始める前にざっくりした話のアウトラインはできていたので、それを受け取ってこの人はどうしてこういうことをしたんだろうとか、この人はどういう考えでこういう風になったんだろうというような人物の裏付けを考えていく、というのが主な作業で、キャラクター設定を最初に作っていきました。

――結構細かく作られているんですね。

奥寺:そうですね。自分のためみたいなところもあって。迷ったときにもう一回キャラクター設定に戻ることはあります。あとは、強みと弱みを考えるところですかね。例えば、無口な人が何かを言われた瞬間にワーッと雄弁に喋りだすとか、普段は温厚な人が何か言われて感情的になるとか、そのポイントはどこなのかを考えながらキャラクターを作っています。

――小駒という役を横浜流星さんに当て書きした思いを聞かせてください。

奥寺:小駒は分かりやすい人物で、思ったことはどんどん言葉に出してしまうし、これだと思ったらすぐに行動するタイプなんです。横浜さんは細かい迷いの部分、言葉に、セリフにならないところを丁寧に拾ってくださる役者さんなので、脚本以上の小駒の奥深さ、人間らしい奥行きを作ってくれるんじゃないかと思って、このキャラクターをお願いしました。今回ドラマ発表時に多くの映像業界の方から、「流星をよろしくお願いします」「純粋なやつなんですよ」と連絡をいただいて、横浜さんは愛されてると思ったんですよね。横浜さんは自分を惜しみなく役に与えてくださる役者さんだと思うので、その愛されている雰囲気が小駒にも出て、毎週観たい小駒になればいいなと思います。

――映画『国宝』でのタッグから期間が空きましたが、奥寺さんから見て横浜さんの変わった点はありますか?

奥寺:ここ10年ぐらい、横浜さんの作品を観ているんですけれども、毎作変化し、パワーアップしていくので、これからもさらにどんどん上がっていくんだなというのは予感しました。

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