広瀬すず、10代の葛藤を経てたどり着いた現在地 「仕事がどんどん“生活”に馴染んできた」
凪良ゆうのベストセラー小説を『新聞記者』『正体』の藤井道人監督が映画化した『汝、星のごとく』。風光明媚な愛媛県今治市の島を舞台に、運命に翻弄されながらも己の人生を切り拓こうとする井上暁海と、彼女と惹かれ合う青埜櫂の波乱に満ちた歳月を描いた愛の物語だ。ヒロイン・暁海役を務めた広瀬すずは、『流浪の月』以来のタッグとなる横浜流星と共に、17歳から32歳までの15年間という重厚な時の流れを演じきった。映画化の発起人でもある横浜への揺るぎない信頼、藤井組の濃密なロケ撮影の裏側、生身の人間として演じたからこそ強くなった暁海像、そして10代から20代を経て「仕事が生活になった」と語る広瀬のフラットでブレない現在地に迫った。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
横浜流星から受けた刺激と感動
――広瀬さんは本作の第一報が出た際に「演じるのが凄く楽しみだなぁ、と思いながら本を読ませて頂きました」とコメントされていました。17歳から32歳までを演じるという点も含め、どのような部分に楽しみを感じていたのでしょうか。
広瀬すず(以下、広瀬):実は、年齢の幅自体はそこまで気にしていませんでした。これまでも年齢幅のある役をやらせていただく機会が多かったので、そこへの苦手意識はほとんどなくて。それ以上に、共演者の皆さんやお互いのセリフを通して感情を交換し合わないと絶対に作れない作品だなと感じたんです。豪華なキャストや先輩方が集まって、全員でワンシーンワンシーン丁寧に作ろうとしている姿を間近で見られるのがすごく楽しみでした。それに、共演経験の多い横浜流星くんとここまで濃く向き合えるのも大きかったです。お互いの距離感がスタートラインとしてあったのはすごくありがたかったですし、そこからまた2人でどう作り上げていけるのか、素直にワクワクしていました。藤井監督ともずっとご一緒してみたかったので、全部が楽しみでしたね。
――実際の撮影を振り返ってみて、その「楽しみ」という感覚は達成されましたか?
広瀬:はい! 本当に濃密で充実した時間でした。実際に今治に長期間滞在して、スタッフ・キャストみんなで共に過ごしたロケだったんです。「東京の自宅から現場に通う撮影とはこんなにも違うんだ」と改めて実感させられました。藤井組の皆さんの佇まいや現場の空気作りが自分にすごく合っていて、毎日心地よくお芝居に集中できました。
――今回、W主演を務めた横浜流星さんが映画化に向けて自ら動かれていたそうですね。
広瀬:企画をいただいた段階では、流星くんが先に動いていたことは知らなかったんです。後からその話を聞いて、同世代の役者としてここまで作品やお芝居に熱量とリスペクトを持って取り組んでいる姿勢に改めて感動しました。流星くんが原作者の凪良先生のファンだというのは『流浪の月』のときから聞いていたので、私自身もなおのこと「丁寧にしっかりやりたいな」という思いが強まりました。流星くんが醸し出す安心感と熱量には、本当に良い刺激をいただきました。
――広瀬さんが演じられた暁海は、過酷な状況に置かれながらも、特に後半にかけて自分の意志で突き進んでいく強さが非常に印象的でした。ご自身では彼女の心情をどのように捉えて演じられていましたか?
広瀬:暁海って、10代ならではの繊細さやセンシティブな弱さを持っているように見えて、私は最初から「すごく強い人だな」と思って演じていたんです。本当に弱い人だったら、周りに流されて自分の意見すら出てこないと思うんですよね。でも暁海は「自分はこうしたい」という意志がずっとある。自分の力を信じているけれど、100%は信じ切れていないからこそ、周りの言葉や人から影響を受けて感情を汲み取って生きているんだなと。
――原作で描かれている繊細さとは少し違う、生身の人間ならではのリアリティが吹き込まれていましたね。
広瀬:原作を読んだときは、もっと柔らかい危うさや脆さを感じていたんです。でも、生身の人間として私が演じたら、こんなにも強くなってしまったなと(笑)。原作のイメージとは少し違う部分があるかもしれませんが、自分の意見を消すことができない彼女の姿勢には、私自身も共鳴できる部分がありました。自分もどこかそうやって構えてしまう部分があるので、自然と強い暁海ちゃんになったのかなと思います。
――ヘアメイクや衣装を含め、島での10代から大人になっていくグラデーションも非常にナチュラルでした。
広瀬:私自身は年齢ごとの変化について意図的に何かを計算したわけではなくて、スタッフの皆さんの力を借りて作っていただいた感覚が強いです。10代の頃は肌を黒くしてそばかすを描いて短パンを履き、大人になったら前髪を伸ばして……と、見た目を入念に変えてくださったので(笑)。皆さんの技術を信じて、自然と年齢を重ねて見えるように身を委ねていました。