俳優・大森元貴の魅力は“変幻自在ぶり”にあり? 『いろはの恋は時代をかける』での表現力

 NHK連続テレビ小説『あんぱん』(2025年度前期)では、その印象がガラリと変わった。大森が演じたのは、作曲家・いずみたくをモデルにした、いせたくや。音楽と演劇をこよなく愛し、思いついたことを次々と口にする、明るくエネルギッシュな青年だ。柳井嵩(北村匠海)と出会い、ミュージカルの制作や「手のひらを太陽に」の楽曲制作を通じて交流を深めていく。

 たくやは、とにかくよく喋る。音楽や芝居の話になると夢中になり、ときには周りが見えなくなってしまうことも。でも、そんな少々強引なところも含めて愛嬌があり、どこか憎めない。特に嵩とのやり取りはテンポが良く、2人が一緒にいるだけで作品の雰囲気がパッと明るくなった。鈴木とは正反対の役柄ながら、どちらも大森らしい魅力が感じられた。

 こうして振り返ると、大森の強みは役柄に合わせて雰囲気を大きく変えられることだろう。そもそもMrs. GREEN APPLEでは、楽曲ごとに歌声や表情を使い分け、ライブでも演劇的な演出に挑戦してきた。実際、『あんぱん』への出演も、制作統括の倉崎憲が音楽劇を取り入れたライブ『The White Lounge』を観たことがきっかけだったことが明かされている(※1)。特に大森の間の取り方や表情、仕草が印象に残ったそうで、音楽活動を通じて磨いてきた表現力が、俳優としての活躍にも生かされているのだろう。

 そして今回の関孝和役だ。『#真相をお話しします』の鈴木がミステリアスな青年、『あんぱん』のたくやが情熱的な青年だったのに対し、関は知性と包容力を兼ね備えた大人の男性。第1話でも、いろはを見つめる優しい眼差しや落ち着いた話し方が印象的で、彼女の夢を否定することなく、そっと背中を押す姿に関の人柄がよく表れていた。これまで演じてきた人物とはまったく異なる役柄でありながら、自然と引き込まれてしまうのは、やはり大森の表現力があってこそだろう。

 大森は12月25日公開の映画『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』で、実在した歌手・水原弘を演じることも決まっている。ミステリー、朝ドラ、時代劇、そして音楽映画と、わずか2年足らずでさまざまな役柄に挑戦してきた大森。作品を重ねるたびに違った表情を見せてくれるだけに、今作でも新たな発見がありそうだ。俳優・大森元貴のさらなる活躍に期待したい。

参照
※1. https://mdpr.jp/interview/detail/4613044

■放送情報
火曜ドラマ『いろはの恋は時代をかける』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:上白石萌音、向井康二、山中柔太朗、大森元貴、剛力彩芽、大西礼芳、白山乃愛、YOU、イモトアヤコ、保田圭、竹財輝之助、柳ゆり菜ほか
脚本:長田育恵
演出:田中健太、福田亮介
音楽:Ken Arai
主題歌:MISIA「さよならばっか」
プロデューサー:宮﨑真佐子、松本明子
協力プロデューサー:阿部愛沙美
編成:渡邊晏夏、関川友理
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/koitoki_tbs/
公式X(旧Twitter):@koitoki_tbs

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