『波うららかに、めおと日和』続編の愛おしい幕開け 芳根京子&本田響矢が示す“夫婦の絆”

「ただいま戻りました」
「おかえりなさい」

 このやり取りを、どれほど待っていただろう。夕飯の支度をするなつ美(芳根京子)のもとへ、瀧昌(本田響矢)が帰ってくる。『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)の続編が幕を開けた。見慣れた家と、聞き慣れた挨拶。夫を迎えるなつ美と一緒に、こちらまで「おかえりなさい」と言いたくなる。結婚二年目を迎えても、相変わらず初々しい二人に、また会えたことが嬉しい。

 第1話で描かれたのは、そんな夫婦の何気ない一日だ。食卓を囲み、思い出話に花を咲かせ、夕涼みの散歩に出かける。大きな事件が起きるわけではない。それなのに、いつまでも見ていたくなるのは、二人がただただ愛おしいからだろう。

 カレイの煮付けを食べた瀧昌に、なつ美が味を尋ねる。返ってくるのは、おなじみの「問題ありません」。その言葉に嬉しそうな顔をするなつ美を見るだけで、二人の暮らしに帰ってきた実感が湧く。もうすぐ結婚式を挙げる芙美子(生田絵梨花)と深見(小関裕太)へのお祝いを考える場面では、瀧昌の不器用さも健在だ。深見に欲しいものをさりげなく聞くはずが、あっさり目的を見抜かれてしまう。

 そこから話題は、新婚当時に交わした手紙へ。任務で家を空ける瀧昌と、帰りを待つなつ美にとって、手紙は離れて過ごす時間をつなぐものだった。ただ、当時の二人は、紙の上でもなかなか素直になれなかったようだ。

 なつ美が周囲の助言を受けてつづったのは、知らない相手に嫁ぐ不安と、一緒に暮らすなかで見つけた瀧昌の優しさ。料理を残さず食べてくれたこと、つないだ手が温かかったこと。その一つひとつを宝物のように受け止めていたと知り、瀧昌も長い返事を書こうと張り切る。ところが、いざ書こうとすると言葉が出てこない。なつ美からの手紙が嬉しかったぶん、何を返せばいいのか悩んでしまう姿が、なんとも彼らしい。

 そんな瀧昌が見つけたのは、なつ美の手紙に残っていた、文字を消した跡だった。鉛筆でなぞり、浮かび上がったのは「いつ帰ってこられますか」という、いじらしい一言。一方、なつ美も、届いた返事の葉書の端に貼られた紙をはがし、「なつ美さんのカレイの煮付けが食べたい」という瀧昌の本音を発見する。二人とも、相手を恋しく思う言葉を書きながら、送る前に隠していたのだ。

 現代なら、離れていてもすぐに連絡を取り合える。なつ美が願う「書いた手紙が飛んでいって、すぐに瀧昌様に届いて、返事も一日で届く」暮らしは、私たちにとって当たり前になった。その便利さがどれほどありがたいかを感じるとともに、今回のエピソードには、手紙だからこそ届く“確かな体温”も描かれていた。

 メールやLINEで送る前に消した言葉は、相手には見えない。けれど、紙にはためらった跡が残る。文字の癖やインク、時にはタバコの匂いまで、書いた人の気配を運んでくれるのが手紙だ。だからこそ、なつ美は瀧昌からの「電話を引く(設置する)」という提案に「手紙なのが、大事なのです」と答える。すぐに返事が欲しい気持ちと、体温のある手紙を受け取りたい気持ち。そのどちらの思いにも、深く共感してしまう。

 連絡がつかない寂しさも、気持ちを伝えられないもどかしさも、二人にとっては切実なもの。それでも、短い返事を喜び、隠された一文に胸を弾ませる姿を見ていると、思うようにいかないことが、二人の愛情をいっそう育てているような気がする。いつでもつながれる今、私たちは相手から届いた言葉を、これほど大切に読んでいるだろうか。

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