興収で読む北米映画トレンド

『アザー・マミー』『バイオハザード』北米でホラーの波ふたたび 話題の新作は思わぬ苦戦

 北米映画市場に、ふたたびホラー映画の波がやってきた。10月9日~11日の週末ランキングは、ジェシカ・チャステイン主演の『アザー・マミー』がNo.1を獲得。公開4週目にしてNo.3を堅持する『バイオハザード』と並んで、ジャンルとしての強い興行力を見せつけた。

 『アザー・マミー』は、北米3365館で週末興収2750万ドルを記録し、事前予測の2000万ドルを大きく上回った。海外でもイギリス、イタリア、メキシコ、台湾などで首位に輝き、海外初動1769万ドル。世界興収は4519万ドルで、製作費1900万ドルという低予算を考えると上々のスタートだ。

 本作は少女ベラの前に、母親そっくりの恐ろしい存在が現れる物語で、チャステインが母親と怪異の二役を演じた。『バード・ボックス』(2018年)の原作者ジョシュ・マラーマンによる小説に基づき、『ブギーマン』(2023年)のロブ・サヴェッジが監督。ジェームズ・ワンとブラムハウス/アトミック・モンスターが製作を手がけた。

『アザー・マミー』©2026 Universal Studios. All Rights Reserved.

 ユニバーサルは本作の予告編を、クリストファー・ノーラン監督『オデュッセイア』にあわせて初披露し、話題づくりに成功。観客の男女比は男性51%・女性49%で、年代別では18~24歳の38%が最多と、若い観客を中心とする初動につなげた。

 同時に物議を醸しているのは、ユニバーサルが北米において、批評家向け試写を公開直前まで行わない戦略を採ったことだ。海外ではすでに批評が解禁されているなか、国内の批評家は作品を観ることができず、肝心の作品評が伝わらない状態で公開を迎えたのだ。

 実際に批評家と観客の反応は非常に厳しく、Rotten Tomatoesでは批評家スコア19%・観客スコア46%。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreは「D+」評価で、『メガロポリス』(2024年)以来の低評価となった。批評家向けの試写を実施しなかったのは、こうした評価が広まり、初動興行に悪影響を及ぼすことを防ぐ狙いだったとみられる。2週目以降の興行収入がどのように推移するかがポイントだ。

 試写とレビューをコントロールする作戦は、他社もしばしば取り入れているが、長期的にはスタジオの信頼に影響を及ぼすものだろう。ユニバーサルは、『オデュッセイア』ではインフルエンサー対象の試写を実施せず、むしろ批評家への試写を強化することで完成度の周知に努めていた。事前に評価が伝わってこない作品は、その出来を推して知るべし……という発想が広がるのも時間の問題ではないか。日本では11月20日公開。

 第3位『バイオハザード』は、週末興収835万ドル(前週比33.8%減)を記録し、北米興収は1億3852万ドル。海外では中国で大ヒットを記録し、初週末は4060万ドルと、過去2年間に中国で公開されたホラー映画の初動記録を更新した。中国では2017年の『バイオハザード:ザ・ファイナル』が初動9430万ドル、最終興収1億5950万ドルを記録した実績があり、今回も国慶節の連休が追い風となった形だ。

『バイオハザード』

 本作は日本でも初動360万ドルを記録し、世界興収は3億2020万ドル。『バイオハザード』シリーズの歴代最高興収に加え、ザック・クレッガー監督にとっても『WEAPONS/ウェポンズ』(2025年)を超える最高興収となった。

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